ガールズバンドクライ9話感想【熱量と出会い】
9話を見終えた直後、若干の消化不良を感じていた。
ネットでも言われているが、ニナイセリのトゲトゲが無かったとか、ライブシーンが無かったとか、まあそんな俗な理由の為だ。
しかしそんな理由は置いておいて、実は9話を見終えた私は”熱量”について考えていた。
「熱量」
ネットで検索してみると出てくる「本気度」この言い方が言い得て妙だ。
実際物事に本気で向き合い、その成功を信じて真剣に挑戦し、青春の全てを、又は自らの人生を捧げて挑む人物はおそらく全体から見たらごく少数派で、その熱量が”普通の人”の中に紛れ込むと、おそらくそれはノイズとなるだろう。
その熱量を当てられた”普通の人”は「あなたとは一緒に出来ない」「暑苦しいから関わりたくない」等の言葉を投げつけ、周囲に撒き散らされる暑苦しい熱量を忌避する。
今回の9話で、海老塚智が自身の膨大な熱量の制御方法が分からないまま、それを振りかざしたが為に、”普通の人”であったバンドメンバーからドン引きされるシーンが描かれており、海老塚智に感情移入していた私は「あんなにやる気のある智ちゃんなのに可哀想。」と感じてしまったが、実際バンドメンバーにその時の海老塚智が居たのなら「もっと言い方あるんじゃない?」と私なら距離を置くだろう。
熱量を受け止め、共有出来る人物との出会い。
海老塚智の命運はこれに懸かっていたが、彼女は井芹仁菜と出会えた。
ネットで「親友 数」と検索してみる。
その結果は、「2~3人」とあるように、運命の人(と言い換えてみる)と出会う事は奇跡に近く、海老塚智は既にルパさんと出会っている。
しかし、ルパは海老塚智の熱量を更に上昇させ目標に向かって邁進させるキャラではない。(ルパさんはあくまで寄り添うだけだ)
海老塚智は自身の膨大な熱量の発散方法が分からず、燻って世に埋もれてしまいそうになっていたが、その手を掴み、彼女の熱量を正面から受け止めたのが、同じ熱量若しくはそれ以上の熱量を持つ井芹仁菜だった。
この出会いは河原木桃香が井芹仁菜と出会えた事と同じ位に重要で、海老塚智の熱量を(軽く)受け止める事が出来る井芹仁菜と出会えた事で、海老塚智の運命も河原木桃香と同様に回り始める。
海老塚智が歌う「心象的フラクタル」の歌詞の一部を抜粋してみる。
”いつだって書いた運命は 手を伸ばして消えていく”
”それでもあがいた運命は ちょっとずつ熱を帯びていく”
”世界が回り始める”
”憂いを帯びた風景と 吐き出したあの衝動が”
”混ざりあって 確かな感情が生まれた”
”今もまた 私は生きている”
"だから少しだけ 前を少し向いて 歩き出す"
”触れた指先の期待と 熱を帯びている肌が”
”今の私の答えです”
”きっと君にだって どんなところにだって行けるから”
そのまんま9話の内容だった。
泣く。
海老塚智は魅力的なキャラクターだ。
作品が作品なら普通にツンデレヒロインとして主役になっていてもおかしくないキャラクターであるのだが、幸か不幸か「ガールズバンドクライ」にはニナイセリが存在してしまったが為に、主役の座を奪われてしまった。
けれど、それは些細な事だ。
人生において、同じ熱量を持つ人物との出会いは如何に価値ある事か。
ニーナに出会えた海老塚智は今後どのように飛躍するのだろうか。
終演まで残り4話。
海老塚智よ。
その有り余る熱量を、ラスト4話で思いっきり仲間にぶつけ、どうか全力でそのキーボードを奏でておくれと切に願って止まないのである。
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