140字れっすん。140字の百合小説③
【おかしくなりそう】
彼女の柔らかな唇をそっと塞ぐ。絡めた指をぎゅっと握って、優しく唇を食む。「…っ、」口付ける度に、洩れる甘い吐息。ああ、おかしくなりそう。唇を割って舌を捩じ込む。何度も絡めて纏わりつかせて。ちゅ、と吸うと彼女の身体がぴくりと震えた。溢れる唾液も舌で舐め取る。涙がぽろりと頬を伝った。
【よそ見しないで】
「ねえ、こっち見て?」するりと手が伸びてきて頬を包む。ぐい、と彼女の方を向かされて、目の前には不機嫌そうな顔。柔らかな頬がぷくりと膨らんで可愛い。「どうしたの?」指先で優しく頬を擽る。真っ赤に顔を染めた彼女が口をへの字に曲げる。「よそ見しちゃ、やだ…」ああもう。可愛くて仕方ない。
【貴女に伝わって】
駆け寄ってぎゅっとしがみつく。ふわりと漂う大好きな彼女の香り。「どうしたの?」私がしがみついて離れないことを不思議に思ったのか、優しい手が髪を撫でる。心地良い感触。貴女の手も大好き。「今日は甘えん坊さんなの?」そうよ。ねえ、大好き。大好きなの。貴女にこの想い、伝わればいいのに。
【溶かされる】
「可愛い…」貴女があんまり優しく触れるから、胸が苦しくなって、涙が溢れてきてしまう。ねえ、私こんなに優しく愛されたことなんてなかったの。こんなに丁寧に扱われたことも。涙がぽろぽろと頬を伝って落ちていく。「愛しているわ」貴女の優しい声に、瞳に、そのすべてに。私はぜんぶ溶かされる。
【たまには貴女から】
「ねえ、たまには貴女からしてくれる?」彼女の綺麗な唇が近付いてきて、私にそう伝える。「え?」楽しそうににこにことしている彼女。どうしよう。緊張してくる。「あの、じゃあ目…閉じて?」「はあい」心臓がどきどきして仕方ないけれど、ぎゅっと目を瞑って彼女の綺麗な唇目がけて自分を寄せた。
【優しくしてね】
「あの、お願いがあるんだけど」「なあに?」顔を真っ赤にして抱きついてきた彼女の柔らかな髪をそっと撫でる。私の胸に顔を埋める彼女はとても可愛い。「や、優しく、して…」耳まで赤く染めた彼女の発言に、私まで赤くなる。ねえ、分かってる?そんな風に言われると、優しく出来なくなっちゃうのよ?