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140字れっすん。140字の百合小説。

Twitterの140字で百合の小話を書いています。
色んな方のツイート(テキストだったり、イラストや漫画だったり)からインスピレーションを頂いています。


【お願い】

「手のひらのキスは、懇願のキスなのよ?」
そう言って、それはそれは優しく手のひらに唇を寄せる。「懇願?」「お願いします、ってことね」私を見つめる彼女の瞳が、ゆらりと揺れた。手のひらに吐息がかかって擽ったい。「貴女を、もらってもいい?」濡れて光るその視線に貫かれて、もう何も言えない。


【意地っ張り】

「緊張してるの?」「…してない」口を開けば強がりばかりの彼女に、思わず苦笑する。抱きしめた身体はガチガチだし、何なら少し震えているし。一体どの口が言ってるのかしら?まあ、そんな彼女も可愛くて大好きなのだけど。「意地っ張り」優しく耳元で囁いて、紅く染まる柔らかな頬にそっと口付けた。


【見惚れる】

「なあに?」彼女が急にこっちを向いた。「な、何が?」慌てて平静を装う私に、くすくすと楽しそうな笑い声。「だって、ずっとこっちを見てたから」手が伸びてきて、頬を包まれる。彼女の綺麗な顔が近付いて、息が止まった。赤い唇が私の名を呼ぶ。「見惚れていたの?」頷く以外に私に何が出来たろう。


【食事が終わったら】

「いただきまーす!」きちんと手を合わせて元気に挨拶。子供みたいな彼女につい微笑んでしまう。「おいしい!」「急いで食べるとむせるわよ」嬉しそうに食事をする彼女が、ふと汚れた指先を見てぺろりと舌を出した。赤い舌が指を舐める。鼓動が早くなる。ああ、駄目。食事が終わったら貴女を食べたい。


【祈り】

まろやかな暗闇の中、隣ですこやかな寝息を立てる愛しい人。その柔らかな前髪をそっと掻き分けて、額に唇を落とす。「おやすみなさい、いい夢を」ふにゃりと、彼女の相好が崩れる。楽しい夢でも見ているのかしら。願わくば、貴女にはいつでも幸せな眠りが訪れますように。大切な貴女。それが私の祈り。

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