十二回目の蛭
歯ブラシからこぼれた歯磨き粉は床の上に落ちてロシア柄の蛭みたいにみえた。
「動物園からワニが逃げたんだ」と彼からきたメッセージの返答を持て余している。わたしは昨晩の残りのロールキャベツと、蛭と、年金の支払いのことをぐるりぐるりと考えては彼への返信を遠くへ押しやっていたのだけれども、十二回目の蛭が頭にやってきた時、ようやく彼が好きではないことに気がついた。蛭は床にへばりついてじっとしている。
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「動物園からワニが逃げたんだ」と彼からきたメッセージの返答を持て余している。わたしは昨晩の残りのロールキャベツと、蛭と、年金の支払いのことをぐるりぐるりと考えては彼への返信を遠くへ押しやっていたのだけれども、十二回目の蛭が頭にやってきた時、ようやく彼が好きではないことに気がついた。蛭は床にへばりついてじっとしている。
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