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影を見つめる

 目の前に伸びた影の輪郭ははっきりとしていていた。影は項垂れた僕の頭から降りて、肩、袖に寄ったしわが歩道のでこぼこに染みつくみたいだった。石ころ兵が二匹、僕の影を通り過ぎていった。一匹はよくある赤いヘルムをかぶって、もう一匹はなんにもかぶっていない。影は石ころ兵二匹分ふくらんでじっとしていた。
 いつまでそうしていただろう。首の後ろがヒリヒリとしていた。そのうち僕は腰を上げ、足許の影が示すままに東に向かって歩き出した。もう一日が終わろうとしていた。

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