駄堕
人生は後悔だ。
気に入りの皿を割ってしまった今朝とか、勉強を放って遊んでいた過去とか、自分可愛さに吐いた嘘とか、故人に言えなかった言葉だとか、好きよ、なんて言い合っても数ヶ月後には倦怠抱えたり、意図せず殺してしまった虫に今更慈悲かけたり、老いれば若いうちにできなかったことを悔い始める。
くだらないもんだ。
人間なんてのは薄情なもんで、気紛れに湧き出る利他主義によって他者と関係を繋ぐ生き物の総称だった。私も例に漏れず都合のいい時だけ他人にいい面をして、隙あらば自分のことばかり考えて一喜一憂している。
徒労だった。
誰も彼もいつかは死ぬのに、気もない相手に嫌われたくないがために気のあるそぶりを振り撒いたり、『愛してる!』なんて簡単に唄ってみたり、怒られたくないために労働を続けたり、いつまでも、いつまでも、おんなじことを繰り返して週末を迎える。
生活の調子は良くない、よかった試しも、あまりない。責められて、追い立てられて、たまに笑って、こんな調子があと何年続くのだろうかと思い、その果てしなさが億劫だった。
変わりない生活がつづくことにつかれている。夜明けの光に嫌気が差したのはいつからだろうと思い出そうとし、そのうちそれも面倒でやめた。
塩を切らしていた。洗剤も、傘も、新しい皿も買わねばならない。
生きてるだけでお金が掛かるのはなぜだろうと思った。
洗濯もまだ回せていない。
生活はこれからもつづく。
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