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【世界メンタルヘルスデー】私は、私の父になる

父は、私が小学生のときに、私が中学に上がったらアクセサリーを買ってくれると言ってくれた。だが、その日が訪れることはなかった。父は、私が小学生のときに精神疾患が悪化し、子どもを育てられなくなり家を出て行ったからである。父は家を出て行ってから二度と私たち家族の前に姿を現すことはなく、それから21年後に亡くなった。私が父と最後に会話を交わしたのは10歳の時だった。

だから私は、私自身のためにアクセサリーを選ぶ。「私自身が、私の父になる」という決意を込めて。

一般的な家庭の、父親と子どもとのやり取りを見ると、今でも胸が疼く。そして私自身も精神疾患を負っているため、職業や身体の動きに制約のある人生を、ひたすら耐えながら生きていく。

精神疾患を抱えて生きていくというのは、そのくらい残酷なことである。だれが悪いわけでもない。

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