ホスピタリティは正しいのか? 〜 KEY proの悩み・その1

■note復活します!


2022年の3月から2024年の2月まで2年間、月初にnoteを書きました。
そこから1年間お休みしていましたが、また始めてみようと思います。
いわば、season 2みたいなことですね笑

Season 1は、ありがたいことにたくさんの反響を頂きまして、
改めて自分自身で読み返してみましたが、なかなか偉そうなことを書いているなあと苦笑

業界はこうある「べき」だ!とか、 ここがおかしい!とか色々書いてしまいましたが、、

今回noteを復活しようと思った理由は、 自分自身の中で大きな気持ちの変化があったからです。

それを、今回season 2で書いてみようかなと思います。

なので、今回は業界のことだったり、全体を俯瞰で見てというよりは、
自分自身の悩みだったり、ダメなところだったり、
個人的に思ったことを中心に書いてみます。

エッセイ的な話になってしまうので、 勉強になるとかもないと思います。。
たぶんつまらないです笑


■これがホスピタリティなのか?


ここからが本題です。

まずは自分が抱えている(抱えていた)悩みを書いてみようと思います。
そのひとつが、会社のスローガンになっている「ホスピタリティ」に関してです。

以前、ホスピタリティに関してnoteに書いたことがあります。

そこでも少し触れているのですが、いよいよホスピタリティの本質という意味で、 自分が思っているその本質が社員に正しく伝わっていない=自分が掲げる「Creative×Hospitality」が、ただのハリボテになってないかととても悩んでいました。

ホスピタリティの源になっているのは、
「相手に喜んでもらいたい」という心です。

それがあれば、手段としてのホスピタリティはいくらでもあります。
大事なのは、核となる源の部分。
ホスピタリティのベースになるところです。

手段としてのホスピタリティは、想像力だったり、相手の立場にたつことができる知識や経験が必要なので、個人差はでてきます。
そして、源になる部分に真剣であればあるほど、行動に移すことができます。

ホスピタリティとは(図)

いくつか、正しく伝わっていないなと思った例として、
例えば、ロケ弁の事例でいくつかあげてみます。

ケース1「木箱の弁当」

アングルチェック時、弁当がスタッフから不評だった。
弁当を見てみると、木箱に入ったオシャレな和食弁当。
連日深夜まで働いているスタッフは男性ばかりで、もっとガッツリしたお弁当が食べたかったとのこと。
手配したPMに聞くと、
「城殿さんは、木箱のちゃんとしたお弁当を頼まないと怒る」
と聞いたので、そうしました。と。
おそらく以前に、体調管理に気をつけているCDに対しての弁当について、そう言ったかもしれない。それが「いい弁当を頼むこと=ホスピタリティ」となってしまった。

→このケースで問題なのは、手段としてのホスピタリティ(いい弁当を頼むこと)のみを、ホスピタリティだと勘違いしていること。

たしかに、いいお弁当を用意することで、喜んでくれるお客さんはたくさんいますし、 それで「ありがとう」という言葉や、笑顔がもらえます。

その成功体験がより、手段としてのホスピタリティが全てだと思ってしまう要因なのですが、そのこと自体は悪くありません。
でも、ホスピタリティの源から理解してほしかった。

そして、もっと問題なのは「城殿さんが怒るから」という理由です。

こうなると、もうホスピタリティの根本が全く変わってきてしまいます。
ホスピタリティを発揮するべき相手の立場に立てていない。

これは自分に問題があると、痛感しています。
その理由は後述します。

ケース2「配られないお弁当」

撮影時、15:00から18:30まで中空きが発生。
18:30から撮影が再開となった。(20:30まで)
17:45にお弁当が到着し、テーブルに並べられている。
しかし、クライアントにもスタッフにお弁当がある旨を伝えていないため、弁当を誰も手に取らない。
この中空き時間で食べないと撮影終わりまで食事するタイミングはない。
結局、クライアントもスタッフも撮影終了後にそのお弁当を21:00から食べることになった。

→このケースもホスピタリティの源が理解されていない事例です。
これはお弁当を用意しただけで満足してしまい、本来の目的である「スタッフに食事をとってもらいたい」という気持ちが弱いので、行動に移せていません。

頭では理解できているが、声かけができない。
ただ一言、いまのタイミングで食べてくださいね。と。

その一言を言えるか言えないかは、案外、今の若い人たちにはハードルなのかなと思いました。

ケース3「撮影直前でお弁当オーダーを全変更」

4日間に渡る大型撮影の案件。
人手が足りず、お弁当発注は、外注したフリーランスのPMが行なっていた。
撮影4日前。
お弁当のリストをみたセカンドPMがほぼ全ての弁当を変更するよう指示。
リストに赤字で×と書かれた上で理由は、「キープロでこんなクオリティの弁当はありえない」とだけ。
結果、フリーのPMからチーフPMに相談が入り、プロデューサーと相談した結果、 全体の仕事量とプライオリティを鑑みて、お弁当はそのままになったが、 スタッフからクレームがくることはなかった。

→このケースは、手段としてのホスピタリティが最優先になってしまい、 全体最適化が図れていないことが問題です。

誤ったホスピタリティの理解により、肝心の現場進行に影響がでる恐れがあります。
そうなると、制作プロダクションとして本末転倒。

そして、外部のスタッフに対する物言いも褒められるものではなく、
本来のホスピタリティの源があれば、せめて変更の理由は伝えるべきです。


■ホスピタリティが全てではない=ホスピタリティを疑ってみる。


KEY proが設立してまもなく7年。

これまで、ずっと「ホスピタリティ」の大切さを伝えてきましたし、
この源を理解するように伝えてきました。
それこそが仕事を円滑に進めるための要素であるとも。

でも、全然できていない。

そのことに悩み、イライラし、たくさん怒ってきました。
情けない気持ちと、迷惑をかけた人たちに申し訳ない気持ちと。

なんとかしようと、以前noteで書いたKEY proルールを1日ひとつずつ、
そのルールの趣旨も書いた日めくりカレンダーを作ったりもしました。

入り口はだれでもできる「手段としてのホスピタリティ」でも構わないから、 その成功体験から、源の部分を理解してもらえたらいいなと。
(※もし、欲しい方がいましたら、遠慮なくメッセください!たくさん余ってるので笑)

それでも、なかなかうまくいかない。。

そんな中、このことを相談していた、とある人と話をする中で、気づいたことがありました。

「あなたが正義だと思っているホスピタリティの源は、そもそも異常なレベルで、 その源は自分自身の性格や、これまで育った環境があってのもの

ということです。
なるほどと思いました。
確かに、これは自分の性格(誰からも嫌われたくない)からきているもの。

それを、今まで自分はこのベースを理解しろとか、
これが全てだ!こうあるべきだ!と、社員のみんなに言っていました。

そりゃ、無理です。

なぜなら、自分が求めるレベルや視点はそもそも異常だし、
社員みんなにも同じように性格や環境によって培った強みがあるはずなのに、 それを無視して、自分の「べき論」の押し付けをしても理解はされるはずありません。

もちろん会社なので、それでいいという意見もあります。

でも結果として、自分が理想としている「ホスピタリティ」が間違った方向に理解されて、 若い社員が混乱したり、社外スタッフに対しても「キープロ大丈夫?」となってしまっています。

本来なら、自分が「ホスピタリティ」という旗を振っているので、全員がそのマインドを理解している集団になれば、それは会社の強みになりますし、自分もそれを求めていました。

でも、

「やれないことを、やれということは、相手にとっても自分にとっても苦痛でしかない。」

ということなんです。
自分自身の「心の健康」を保つためにも。

今まで自分が信じて、社員に求めていた「ホスピタリティ」を理解できる人とできない人を明確に分ける。

ただ、「理解できない人が、人として劣っているわけではない。」ということも併せてしっかり伝えることも大事だと思いました。

ざっくりいうと、

「自分とは合わない」

という身も蓋もない話になるのですが、いままでは

「自分とは合わない→なんとかしろ!」

だったのが、ホスピタリティの源を理解できない人に対して、 それを無理に求めることをやめた瞬間に、

「自分とは合わない→それは仕方ないし悪いわけでもないから、ちゃんとあなたの強みを生かす方法を一緒に考えよう。」

と、マインドが完全に変わりました。

ケース1で書いたように、「城殿さんが絶対だ」と思ってしまうのは、 自分が社員に対して独りよがりだったからだと思います。

「適材適所」

経営者として、ちゃんと向き合って話をしないと、その人の強みもわからない。
それが仕事以外のことに向いているかもしれない。
ちゃんと、キープロが社員の幸せを実現できる場所にしないといけない。


今まで、圧倒的に社員みんなと対話する時間が少なかったと痛感しました。

もちろん、今まで掲げていた「ホスピタリティ」をなくすつもりもありません。
このホスピタリティの源を持っている社員は、自分の背中をみて成長してくれていますし、 学ぼうとしてくれます。
自分に伝えられるのはここしかないので。

このマインドチェンジは自分にとってとても大きいものでした。

自分自身も楽になったし、社員に対しての向き合い方も変わりました。
そんな中、こんな画像がWEB上で流れてきました。

すごいわかるなと。

でも、「他人」ではなくて「家族」。
「諦める」ではなくて「リスペクト」だと思います。

自分のやり方や考え方と合わない人を切り捨てるのではなく、
一緒にどうしたらいいかを考えることが、経営者としての責務だと思うからです。

■おわりに


ということで、いまキープロは期末で、社員ひとりひとりと面談をして、この話をしています。じっくり時間をかけて。

すると、肩の荷が降りたという社員もいますし、
目指すべき方向性ということで、より議論が深まることもありました。

全然時間がたりません。

そもそも、キープロは20人前後から増やさないと最初に決めていて、
その理由は、ちゃんとひとりひとりに向き合える限界の人数だからと言っていました。

その原点を、なぜ今までちゃんとやってこなかったのか。
それをやらずに、「ホスピタリティが理解されてない!」と嘆いている自分に喝を入れたい。

ここに書いたことは、一般的に「上司と部下」の関係の中で、うまくいっていないとか、悩んでいる方々に、少しでもヒントになったらいいなと思いました。

自分も今まで自分の価値観の押し付けだけで、問題だと思ってもいなかった人間だったので。

長くなりましたが、こんな感じで、season2は自分が思ったことや
ダメな部分をどんどん出していきたいと思っています笑

長文、読んでいただき、ありがとうございました!

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