演劇未経験の私が1年で自分で脚本演出をしたVR演劇の公演をした話(後編)
前半に続いてこのnoteではVRではもちろんのことリアルでも演劇未経験だった私が、どういった経緯で約1年の間で自分で脚本、演出を行ったVR演劇の公演をするに至ったのかを備忘録的にまとめていきたいと思います。
自分でも1年前にはこんな経験ができるとは全く思っていなかったですし、まとめながら改めて自分の運の良さを痛感したので、こんな事もあるんだなぁという気軽な気持ちで読んでいただけると嬉しいです。
稽古開始、そして脚本初版の完成へ
公演日から約2ヶ月前にようやく初稽古となった我々、ちょうどこのタイミングで公演のタイトルをチョイスに決め、団体名についてもmaropi工房としました。
9月中はシンプルなシアターゲームをしてお互いのことを知ったり、VRで演技をするということに慣れてもらうことに注力していました。
ここでは私がVRマクベスを終えてから所属しているインプロ劇団の白紙座での経験が活きていたと思います。
そして稽古と並行して私は脚本を仕上げて行くことに。ここでも自分にプレッシャーをかけるべく役者陣に9月中に脚本書きますと宣言。
10月には台本を渡して稽古を進めたかったので何とか初版を9月中に仕上げるべく夜な夜な脚本執筆と向き合っておりました。
実際に書いている時だけではなく、移動中とか別のことをしている時もどういう話の流れにするかを常に考え続けていたとおもいます。
その上で文字にして書いていくときにはとにかく考えすぎないで書きまくる。そんなやり方で手を動かし続けていました。
最近新しい脚本を書いていてあらためて思っているのですが、この脚本執筆と向き合う時間が私は結構好きです。
仮脚本完成、そして本読み開始
そして9月末、なんとか脚本を書き上げすぐにそれを役者にシェアしました。
なんせ演出の経験もなかったので自分の書いたものが、演じてもらうとどういうものになるのか、果たして想像していた通りに少しは面白くなるのか、早くそこを確認していきたかったのです。
そしてそのタイミングで配役も決めていきました。配役についてはそれまでに行ってきたシアターゲームで皆さんの人柄であったり、会話の中での立ち回りを見てハマりそうな役を当てさせていただきました。
10月からはその脚本、配役にて本読みを開始していきました。実際に読んでもらうとわかってくるものは非常多くて、それを見た上で脚本を少しいじったり、演出を考えたりと進めていきました。
でもこれ、脚本渡してすぐの稽古からイメージ通りにセリフを読んでくれる役者陣がいたおかげなんですよね。ほんと感謝です。
いよいよ演出へ!そこで気がついた…
何度か本読みをベースとした稽古を行い、それを参考にして脚本がほぼほぼ固まってきたタイミングで、各シーンごとでの動きを決めていくことに。
ここではVRマクベスの際にぬこぽつさんがやっていたことを参考に動きを決めて行ったり、白紙座で学んだ舞台の上での見せ方について参考にして見せ方を考えたりとしていました。
あとは別件の取材で、VRだけではなくリアルでも活動をされているコメディアスさんのリアルの稽古に1日密着させていただく機会があり、そこ見たことが非常に演出の付け方やらコミュニケーションの取り方の参考になっていました。
あとは役者陣が私よりも経験豊富だったので、シーン毎の演出についてもかなり沢山の提案をしてもらえました。私はどちらかというと自分の案も含めた、いろんな案の中から全体のバランスを踏まえてどの案を採用していくべきか決めていくという意思決定の役割に徹していたような気がします。
そして動きを決めていく中で気がついたのですが、
人が足りない
BGMや照明、幕の上げ下げなど、自分でできるかと思っていたのですが作業が多すぎてタイミングよくできる気がしない、何より事故る可能性がめちゃくちゃ高いことにここで気がつきました。
1ヶ月前でのスタッフ募集
そこで急遽、またもメタシアターのサーバーを活用させていただきスタッフ募集を行うことにしました。
そこで反応してくれたのがなほろさんとせたさん。タイミング的にも絶対に2人の力を借りて進めたかったのと、時間がそれほどない中でスムーズに参加してもらえるように以下のようなオンボーディングの資料を用意してやりたいことや力を借りたい内容についての説明を行いました。
無事お二人の参加が決まり、なほろさんには音響、セット作成を依頼をお願いし、せたさんはVRChatに入れないということで集客に向けたポスター作成をお願いしました。
なほろさんにはメタシアターの劇場にて舞台を作るために欠かせないCatsUdonシステムの使い方を把握していただいた上で、ラフなイメージをお伝えし作成をお願いしました。
そして出来上がってきた舞台はまさにイメージ通りでした。
背景の壁には画像を貼り付けているのですが、ここには画像生成AIで作った画像をつかい雰囲気をプラスしています。
一方でポスターについてはせたさんに他のVRChatのイベントポスターや、作っていただきたいポスターの印象に近い演劇ポスターの画像を参考にわたしながらこんな感じのポスターが欲しいですと文字でお伝えしました。
その上でせたさんに通し稽古を見ていただき、それに合ったデザインをご提案いただくことに。
そして出来上がってきたポスターがこれです。
いや天才すぎる。公演を見ていただくとわかるのですが、このデザイン、ほんと申し分なく完璧です。
怒涛の通し稽古、そして集客
11月に入ってからは全員で集まれる日はとにかく通し稽古、キーとなるポイント、とくに初めのシーンは全体の印象を決めるシーンだったので何度も繰り返し練習を行っていました。
あとは後半の見どころとなるシーンは何度も繰り返しやり続けて最終的な演出内容を固めていきました。
どんどん芝居自体はいい感じに仕上がっていく中で、不安になってきたのが集客のこと。みんなに夜の大切な時間をとってもらい、こんなにも頑張って練習をしてくれた上で行う公演、なんとかして2回ともインスタンスを埋めたい。
そこでXでのポストはもちろん、VRChatにてフレンドに直接営業していました。これは演劇祭が開催されてからもゴリゴリやっていて、エントランスワールドのポスター前に立って、ふらっときた人に営業かけたりもしていました。
本番公演に向けたオペレーションの確認
そんなこんなでいよいよ本番直前となり、劇中以外の動線を確認していくことに。ここでaawayさんの提案により斬新なショーアバターの方法が生まれました。
それ用のアバターもaawayさん、しじみーぬさんが作成してくれました。
ここで開演前の案内に人がいた方がいいと気がつき、急遽追加でスタッフ募集。りょうらんさん、尾狐てゃぴさん急なお願いだったのに完璧に案内していただきありがとうございました。
これでいよいよ準備万端!かと思いきや最後の最後で問題が。
今回のメタシアター演劇祭、それぞれの団体が劇場ワールドをメタシアターのGroupインスタンスで立てて公演を行なっていたのですが、我々の公演から21時から21時30分、同じ劇場ワールドでの「真夏の夜の夢」の公演のインスタンスオープンが21時50分。
公演後はそのまま客出しをしたかったのですが、それをしてしまうと真夏の夜の夢のインスタンスだと勘違いして我々の方に入ってきてしまう人が出てしまうかもしれない
ということで急遽お客さんの導線を考えないといけなくなったのですが、せっかくだったらそれも演出の一部にしてしまおう、ということで脚本の中にあった花火が打ち上がっているフレンドの桜月さんのワールドを使わせていただいて公演後すぐにそちらのワールドに全員を移動させることに。
これが結果的には劇場ワールドでそのまま客出しを行うよりも雰囲気がでて良かったと思います。
ついに本番!公演1日目
11月25日、ついに本番1日目となり、公演30分前の20時30分を集合時間としていたのですが、ソワソワしてしまい結局20時過ぎには全員が集まっていたと思います。
最後のオペレーション確認を行なった上でいよいよ20時50分になり本番インスタンスをオープンへ
せめて半分はインスタンス埋まって欲しいな、と思いながら本番インスタンスを立てたのですが、
一瞬でインスタンスはフルに
この時は役者、スタッフが全員大興奮していました。そして予定通り公演は行われ、少しのトラブルはありつつも無事公演終了しました。
公演中、私は舞台上から様子を見ていたのですが、演技に合わせて笑い声が起きているのを聞きめちゃくちゃ感動していました。
自分の頭の中にあったものが、みんなの協力で磨き上げられ、それをみんなが本気で演じてくれ、それを見てお客さんが笑ってくれている。こんな幸せなことがあっていいのかと本気で思った次第です。
その後大満足で客出しワールドへ移動し、そこでも嬉しい言葉を沢山かけていただき、心底やってよかったと思っていました。次の日もあるので早めに解散したのですが、興奮してその日は全く寝付けず、結局寝不足で2日目を迎えることに。
更に緊張。公演2日目
1日目にすごくいい反応をしてもらえたが故に、2日目は集まった段階でみんなの緊張が1日目以上でした。ここはmaropi渾身のカレー小話で緊張の解消を試みていました。上手く寄与したかは不明です。
この日も開場後すぐにインスタンスはフルに。本当に嬉しい限りでした。そして本番では1日目以上にいきいきと演じる役者陣、2日目の出来は稽古も含めて過去1よかったと思います。アーカイブ動画残っているので、是非見ていただきたいです。
全てが終わった上での感想
改めてですが、私が演劇にふれたのはVRマクベスが初めて。演劇をやる側になるというすごく価値の高い体験を、VRでは私のようなやり始めてから1年程の人でも出来てしまう、というのがほんとにすごいと思います。
少しでもVR演劇に興味が沸いた、という人がいれば是非ともチャレンジしてみてもらいたいです。興味はあるけど何から始めりゃいいかわからない、という人はいつでもmaropiに連絡ください。
今後も脚本書いて公演は絶対行っていきたいと考えていますので、もし出てみたい!という人いればそちらもいつでも是非ご連絡いただければと思います。
みんな!VR演劇やろうぜ!
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