『東京マラソン完走』後編 当日編
みなさん、こんにちは!
前回アップした『東京マラソン 完走 前編』の続き・当日の様子をお伝えして行きます。
走るのが嫌いなグダグダランナーだからこその経験や着眼点があると信じて…
お付き合いしていただければ、幸いです。
前日〜当日の朝にかけてやるべきこと
それは、『カーボ・ローディング』です。
初めて聞く単語だよーという方もいるかもしれないので簡単に説明すると、「炭水化物を多めに摂ってエネルギーを体に溜める」という行為です。
当日のエネルギー切れを防ぐための、事前の対策です。
人によっては、数日前から計画的にご飯の量を増やすパターンもある様ですが、わたしは前日の夕食と当日の朝食を増やす程度です。
特に当日の朝は、同じ炭水化物でも消化に良いものをセレクトします。
長距離を走ると、長時間内臓に刺激が加えられ、人によっては胃腸の不調を引き起こす事もあります。
出来るだけ胃腸に負担をかけない、消化に良いものがおすすめです。
うどんやお餅、バナナなどが人気ですね。
揚げ物や菓子パンなどはNG!終わった後の楽しみに取っておきましょう。
消化の関係上、スタートの2〜3時前までに食事を終わらせておくと良いと思います。
もし当日寒かったら?
マラソン大会は寒い時期にも多く開催されます。
東京マラソンも大体2月末〜3月頭の開催になり、気温が10℃前後になります。
その気温の中でスタートを待つので、当然寒さ対策が必要になります。
防寒具等の荷物は預けてしまうので、スタート地点で身につけているものは、そのままゴールまで身につける事となります。
レースによっては、チャリティーの一環としてスタート地点に衣類回収ブックスが設置され、要らない防寒具を回収してもらえる事もあります。
以前は東京マラソンも実施していました。
しかしコロナ流行により、回収ボックスの設置がなくなったレースも多いと思います。
そこで重宝するのが、100円均一で買える薄いビニール製のカッパです。
走り始めて暑くなったら脱いで持参しなければいけなくなりますので、出来るだけ薄い物を選ぶと後が楽です。
え?カッパ?と思われるかもしれませんが、風を通しにくい薄手の物を1枚羽織っているだけで、だいぶ違います。
実際、スタートの新宿に向かう電車の中では、カッパ着用のランナーをかなりの人数見掛けました。
天気は良いのに。笑
「えーカッコ悪いー!」とか思わず、試してみてください。
寒い中での待機は体が固まり、その後の走りに影響する場合もあります。
スタート地点の地面に脱ぎ捨てられている物をよく見かけますが、これはルール違反です。
捨ててOKなゴミ箱が設置されていない限り、必ず小さく折りたたんで収納し、ゴールまで運んで行きましょう。
スタート地点へ向かいます
わたし的に、スタート地点に並ぶ前の最大の難関!それはトイレ問題です!
とにかく並ぶ!並んで並んで時間は瞬く間に過ぎる…
簡易トイレがズラッと設置されていますが、なんせランナーの人数が多いので、蛇がとぐろを巻く勢いで列が伸びていく状態。
特に女性は、男性の列の倍以上掛かると見積もっても良いでしょう。
東京マラソンの様な参加ランナー数の多い大会に限って言えば、スタートしてからも数キロ毎に簡易トイレの設置がありますが、それも並んでいる場合が多いので、やはりスタート前に1度は済ませておいた方が安全です。
スタートの整列位置は、エントリー時のゴール目標タイムによって割り振られます。
スタートブロックにより、整列の締め切り時間が異なります。
トイレの混雑のため、その締切時間に間に合わないと、最後尾からのスタートを強いられる場合があります。
万が一、関門時間ギリギリの時は、このスタートブロックのタイム差で泣きをみる可能性も出てきます。
参加者が多い大規模大会は、トイレだけではなく全てのことに時間が掛かります。
時間の余裕を持って行動しましょう!
とうとう運命の号砲!
やっと?スタートです。
正直この時点でのわたしは『諦めの極地』です。
もう、どうとでもなれ!みたいな。
あーさっさと始まって、さっさと走って、帰りたい…そんな風に思っている事も…
しかし本当にどうとでもなれ!では、完走できない危険性が出てきますので、ここではわたしがスタート直後から序盤にかけて気をつけている事をお伝えします。
それはズバリ『テンションが上がっても、スタートダッシュをするな!』です。
スタート直後は、みんなテンションが爆上がりです。笑
紙吹雪が舞い、テンションが上がる音楽がかかっていたり、沿道から「いってらっしゃーい」の大声援を頂けます。
「よーし!やったるで!」
となるのが人間ですが、ここで自分が決めたペース以上のスピードで駆け出すと、後が地獄です。
自己ベストを狙うランナーなら、スタートダッシュも必要なのかもしれませんが、あくまでも完走が目的なのであれば、ここはジッと耐えることが必要です。
特に東京マラソンは、スタート後数キロは下り基調なので、楽にスピードが出やすく「あれ?今日調子良くない?飛ばしちゃう?」となりがち。
後でダメージが襲ってきます。笑
まずは体を慣らしていかないといけないので、最初の数キロは少しゆっくりめペースで、そして徐々に上げていくというのが理想です。
しかし、スタート直後から突っ込んでしまうと、確実に足を削ってしまっている状態になります。
正直に言うと、今回の大会のエントリーは2年前だったので、今現在よりもう少しマシな走りができていたので、スタートブロックも現在の実力よりは前の位置でした。
このブロックの流れに乗ってしまうと、直ぐに潰れてしまうのは確実でしたので、スタート後は早めに端に寄り、後続のランナーの邪魔にならない位置で自分の決めたペースを守っての安全運転に努めました。
もう、抜かされる抜かされる…
体感的には、最初の3kmで1000人以上に抜かされたような気分になりました。笑
ここで大切なのは、流れを堰き止める石の様な状態になるのは、後続ランナーの迷惑にもなり、また後ろからの圧力で焦ってしまい、結局はオーバーペースに巻き込まれて…となりやすいので、端に寄るなどして、自分のペースを守れる環境を作りましょう。
反対にスタート後の渋滞に苛立ち、少しでも前に行きたいと空いてるスペースを右に左に移動しながら進んでいくランナーを見掛けますが、急激なペースアップ及びペースダウンは足への大きなダメージの原因になる恐れがあります。
なるべく同じリズムを淡々と刻むのが理想。
スタート数キロぐらいなのであれば、ちょっとノロノロな進行具合でも、足を慣らすのに丁度良いぐらいに思って、焦らず流れのままに進むのが後々のためにもなります。
後はひたすら…
さあ、42,195kmの旅に飛び出していくのですが、その後我々に出来る事というと…
『諦めず、ひたすら、淡々と走る』です。
周りにつられて急激にペースを上げたり下げたりせず、出来るだけ決めたペース付近で、ひたすら足を前に出し続けます。
こうして文字にすると、退屈極まりない感じになっちゃう…
しかし、これが1番の体力温存方法なのです。
良く見かける光景に、
歩き始めたランナーが急に走り出す→直ぐ歩く→またいきなり走り出す→やっぱり歩く
この動きは、結果として結構足にダメージを与えます。
それよりは、もっとゆっくりとしたペース(早歩きぐらい)でなるべく歩かずに、ひたすら一定のペースでゆっくりと走り続ける。
こちらの方が足が長持ちします。
今回、わたしが完走できた最大の要因がコレです!
制限時間を名一杯使って頑張るという方針でしたので、ペース表を確認。
1km9分で6時間20分ですが、(応募要項には6時間半程度で完走出来る走力とあります)これではギリギリ過ぎるので、1km8分半でおよそ6時間で計画を立てました。
まあ、苦しみが6時間続くということですが…
実際は、走ってみて序盤で「もうちょっと早いペースでも大丈夫」と判断して、1km7分10〜20秒程度で走り続けています。
目安としては、鼻呼吸か軽く口を開けての呼吸程度で動き続けられる感じです。
ハーハーゼーゼーという呼吸では、明らかなオーバーペースです。
もちろん、例外もあります
ここまで、出来るだけ歩かずに淡々と走り続けましょう!と繰り返してきましたが、もちろん例外もあります。
それが『エイド』と『坂』です。
『エイド』
数キロ毎にエイドが設置され、水分と給食の提供があります。
東京マラソンでは、計15箇所あります。
上位のランナーはエイドでも止まらずに、走りながら補給をしますが、もちろん完走目標のわたし達にそれは必要ありません。
しかし、あまりにもエイドで立ち止まってしまうと、次に走り出すのが相当苦痛になるので、立ち止まるのは最低限にします。
可能であれば歩きながら必要事項を済ませます。
わたしの場合は、エイドの数十m手前から早足の状態でジェルを飲み始めます。
ジェルを飲み終わるタイミングで、エイドで水を貰い流し込む。
こんな感じです。
それと各エイドで必ず『ストレッチ』を行っています。
長距離を長々と走り続ける間、ほぼ同じ箇所の筋肉を使い続けます。
その結果、特定の筋肉に疲労や炎症が溜まり続け、途中で激痛が発生したりゴール後に痛みでしゃがめない!なんていう状態になることもあります。
それを防ぐために、足のストレッチはかなり効果的です。
さらに欲を言えば、上半身も軽く伸ばしておくと良いです。
走っていると、知らず知らずのうちに肩や背中がこわばっていたり腕に疲労が溜まります。
ひと通り終わったら、頑張ってまたゆっくりと走り出しましょう!
『坂』
今回、わたしが事前に決めていた事の1つに『登り坂は無理せず歩く』があります。
もちろん走れれば、それに越したことはありませんが…
今の自分の走力では無理!と早々決めました。笑
登り坂に出会うとそこは一旦歩いて登り、下からまた走り出すを繰り返しました。
上り坂が遠くに見えると「やったーご褒美だ」と喜んでいました。笑
この登りを歩くというのも、また走るのと違う筋肉を使うため、ストレッチ程ではないとしても、足への負担の分散が期待できます。
その他 旅のお供
『骨伝導イヤフォン』
今回初めて、イヤフォンを装着してレースに参加しました。
長い距離を淡々と走るために、何か気晴らしが必要だなぁ、と。
で、テンションの上がる曲を片っ端から放り込んだら、なんと10時間分!
いやいや、もはや制限時間も大幅に超えてるし。これなら待機時間も全てカバーできるね。
効果は大きかったと思います。
音楽を聴きながら、テンションを保ち走り続けられました。
大会によっては、禁止の場合もありますので、大会要項を確認します。
また、音に気を取られ、後続ランナーに気がつかないと接触等の危険もありますので、安全に使用しましょう。
わたしは、ちょっと鼓膜に難がある事もあり、骨伝導(オープンイヤー)の物を使用しています。
完全に耳を塞いでしまうタイプよりは、周りの音が聞こえるため、後ろから近づいてくる足音にも気が付きやすい利点があります。
『エアサロンパス』
慢性の股関節痛用に、持って走る事が多いです。
ストレッチの最後に吹き付けておくと、良い気がする!(気のせい?)
ミニサイズがありますが、確実に荷物にはなるので、必要な方限定。
最後に
結果は5時間17分(自分の時計で確認。公式タイムは確認し忘れました)でした。
当初予想していたよりは、かなり速くゴールできたと思います。
体力も走力も十分ではない中で、唯一自分が持っているものは『経験』でした。
決めたペースで、淡々と走る。
体をケアしながら走る。
計画通りの配分で、必ずエネルギー補給をする。
それと何より、『楽しんで走る』
副都心のビルを眺め、ビルに反射する朝日に感動し、雷門や東京タワーの写真を撮ったり、沿道のボランティアの方々に手を振ったり、あー辛いーと独り言をぼやいたり。
テコテコゆっくりの完走目標だからこその、隅から隅まで味わう楽しみ方があると思います。
42,195km!人間が走る距離としておかしい!
何をどうしたって辛いに決まっているんだから、そこは潔く諦めて楽しむ。これしかない!
マラソンは42,195kmの『旅』です。
ゴール直前のストレートに入って来た瞬間はいつも「ああ、帰って来た」と強く感じます。
ゴールした瞬間の達成感。
ちょっと大袈裟に言うと「生きてる!」という感覚が全身に漲ります。
ゴール後はファミレスに駆け込んで、ビールとフライドポテトで乾杯!(ここまでが必ずセット)
そして辛さを忘れた頃に、懲りずにうっかり次の『旅』のエントリーをポッチしてしまう。
で、慌てて準備をし出す…
テレビ中継で見るようなカッコいいランナーとは雲泥の差で、うっかりショウウィンドウに映った自分の姿を見ちゃうと、カッコ悪さにガッカリ。
グズグズ・ボロボロで「あー何でわたしこんな事やってんだろう」「2度とこんな事やるもんか!」と呟いたり。
誰でもが簡単に「はい、やります!」なんて言えない道のり。
挑もうとしただけで、既にみんな勇者。
そしてスタートを一歩踏み出せば、今まで見た事のない風景を見られるはず。
走って・楽しんで・生きてるって実感して!
『Have a nice Run!!』