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【最新ニュース】銀河団に現れた“宇宙のクエスチョンマーク?” ウェッブ宇宙望遠鏡が観測!宇宙望遠鏡の凄さを解説!【宇宙】



こちらは、エリダヌス座の方向約46億5000万光年先(赤方偏移z=0.441)に位置する銀河団「MACS J0417.5-1154」の一部を拡大した画像です!中央には、弧状に大きくゆがんだ天体が映っていますが、これは銀河団の重力レンズ効果によって像がゆがんで見えている遠方の銀河のペアだといわれています。

今日の宇宙画像は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータをもとに作成されました!ウェッブ宇宙望遠鏡は、人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

重力レンズ効果とは、手前にある天体(レンズ天体)の質量によって時空がゆがむことで、その向こう側にある天体(光源)から発せられた光の進行方向が変化し、地球からは像がゆがんだり拡大して見えたり、時には分裂して見えたりする現象です!この画像の場合、MACS J0417.5-1154の重力が背後にある遠方銀河のペアの像をゆがめ、5つに分裂させています。全体では「?」の形にも見えることから、ウェッブ宇宙望遠鏡を運用するアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)は「Cosmic Question Mark(宇宙のクエスチョンマーク)」と表現しています!

STScIによると、この遠方銀河のペアは、宇宙の星形成が盛んだった約70億年前に存在していたものです。赤外線を捉えたウェッブ宇宙望遠鏡の観測データと、紫外線を捉えた「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の観測データを組み合わせたところ、星形成領域の場所が明らかになりました!どちらの銀河も広い範囲で星形成が起きており、あまり崩れた形態をしていないことから、銀河どうしの相互作用が始まった段階を観測しているとみられています。

この画像はSTScIから2024年9月4日付で公開されています!

■ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とは?


ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とハッブル宇宙望遠鏡(HST)の比較を通じて、それぞれの凄さを説明します。

1. 観測範囲の違い

  • ハッブル宇宙望遠鏡は、主に可視光線と紫外線の観測を行っています。これは私たちが肉眼で見ることができる光と近い範囲で、宇宙の美しい銀河や星雲を高解像度で観測することが得意です。

  • 一方、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡赤外線の観測に特化しています!赤外線は肉眼では見えませんが、より遠くの天体や宇宙初期の現象を観測するのに非常に有利です。特に、宇宙が膨張するにつれて光が赤方偏移して赤外線領域に移るため、ウェッブは宇宙誕生から間もない最初の銀河まで観測できる能力を持っています。

2. 観測能力の違い

  • ハッブルのミラーは直径2.4メートル。これでも非常に高性能ですが、JWSTと比べると小さいです。

  • ジェイムズ・ウェッブのミラーは直径6.5メートルで、ハッブルの約3倍の大きさです。この大きなミラーのおかげで、ハッブルの100倍以上の感度を誇り、より遠くの天体や暗い天体を観測することができます。

3. 設置場所の違い

  • ハッブルは地球から約570km上空の低軌道に設置されており、地球に比較的近い場所で運用されています。このため、メンテナンスや修理が可能で、何度か宇宙飛行士によって修理されてきました。

  • 一方、ジェイムズ・ウェッブは地球から約150万km離れたラグランジュ点L2に設置されています!この場所は、太陽と地球の引力がつり合う特殊な地点で、地球の影になるため温度が低く、赤外線観測に理想的な環境です。しかし、この距離では人間が修理に行くことができないため、設計段階で非常に慎重に作られ、折りたたみ式で打ち上げられました。

4. 観測対象の違い

  • ハッブルは、銀河や星雲、恒星の詳細な画像を提供してきました。1995年に撮影された「ハッブル・ディープ・フィールド」は、これまで見えなかった無数の遠方銀河を映し出し、宇宙の構造を解明する大きなきっかけとなりました。

  • ジェイムズ・ウェッブは、これよりもさらに宇宙の初期段階、ビッグバンからわずか数億年後に形成された最初の銀河や恒星を観測できます。また、赤外線観測により、星形成の過程遠方の惑星の大気組成を調べることができ、地球外生命の存在を探る新たな可能性を開いています。

5. 技術的進化

  • ハッブルは、1990年に打ち上げられた歴史的な望遠鏡であり、宇宙観測に革命を起こしました。その当時の技術の集大成であり、宇宙観測の基礎を築いたと言えます。

  • ジェイムズ・ウェッブは、ハッブルの後継機として、21世紀の最新技術が集約されています。例えば、ウェッブのミラーはベリリウムという軽量で強度の高い金属でできており、金メッキされています。この技術により、より鮮明で詳細なデータを得ることが可能になっています。

まとめ

  • ハッブル宇宙望遠鏡は、私たちに美しい宇宙の姿を見せてくれ、宇宙の謎に多くの解答を与えました。

  • 一方、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、これまで見えなかった宇宙の初期を探り、宇宙誕生や生命の起源に迫る新しい視点を提供します。ハッブルの驚異的な成果を引き継ぎつつ、その範囲をはるかに超える性能で、宇宙のさらなる謎に挑戦しているのです!

両者は異なる時代と技術の産物ですが、互いに補完し合いながら、私たちが宇宙について理解を深めるために欠かせない存在です。


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