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【ネタバレありゼンブオブトーキョー考察】桐井の正体、池園の未来、現実の日向坂との関連性

こんにちは。三度の飯よりフライドチキンです。

昨日、ゼンブオブトーキョーを鑑賞して、ほろ酔い状態で感想を書き殴ったのですが、最後で大きめの考察をしようとしたところ、壮大なことになったので別記事で書くに至りました。

前のnoteでは主にあらすじと感想について書いてありますので、そちらもぜひ御覧ください。

さて、ここから考察に入りますが、当然ネタバレが入ります。まだ内容に触れたくない方はブラウザバックでお願いします。


桐井智紗の正体とは

りなし演じる桐井は、アイドル志望の女の子。

修学旅行と同じ日に行われる最終選考に運命的なものを感じ、池園班を抜け出して会場に向かいますが、ヤニカスタクシードライバーの五十嵐と、担任のヒヌケンに翻弄されている間に時間が過ぎ、再度会場に戻るもスケジュールが間に合わず辞退。

しかし、エピローグの卒業式の場面では、桐井は出席しておらず、代わりにアイドルになった姿でアクスタとして登場。
かなりのサプライズ展開だったはずなんですが、グッズ展開が災いして大規模に公式ネタバレをしてしまっていたのが残念でした。

ところで、ここで1つの疑問が浮かびます。

修学旅行から卒業式までの間、長くても約1年半程度のスパンでオーディションをするなんてこと、通常あり得るのでしょうか?

乃木坂の1期から2期の間、欅坂からひらがな1期、2期まではスパンが短い方でしたが、一般的には同グループのオーディションは2〜3年空くのが自然ですよね。
桐井が「アイドルの世界に入る」という夢を叶えることを優先して別グループに入るのならまだ分かるのですが、ありりんと衣装がほぼ同じなので、ちゃんとオーディションを受けたグループに加入してるっぽい。

となると、「オーディション最終選考で辞退扱いになったけど、実力は認められており、辞退事由も大人に振り回されてのことだったので、特例として加入を認められた」というルートが1番可能性が高くなります。

勘の良いおひさまなら気づいていると思いますが、まんま「長濱ねる」なんですよね。

さらに、パンフレットに日向坂4期生の成り立ちが説明されている見開き2ページがあるのですが、「2022年に、人気アイドルグループ日向坂46に4期生が加入した」という書き出しではなく、「欅坂に後から加入した長濱ねる」についての説明から始まるんです。

4期生がメインの映画なら、日向坂の成り立ちを省いて4期生のスタートから書いてもいいとは思うのですが、わざわざ長濱ねるについての説明から始めるあたり、映画の中に隠されたものに対してのヒントを与えているような印象を受けました。

池園の未来と、ヘッドフォン

そして、プロローグとエピローグで描かれた卒業式の場面で、池園は誰も居ない教室でスマホを取り出してヘッドフォンをつけ、何かの曲を再生します。
まだ1回しか観れていないので、プロローグで「急行券とリズム」がかかったタイミングの記憶が曖昧なんですが、ここからは「急行券とリズム」ではないと仮定して話を進めていきます。

僕の結論を先に言うと、池園が聴いているのは「加入した桐井が参加しているアイドルの曲」と推測しました。

池園は、桐井の歌声を聴きながら修学旅行の思い出やアイドルとして活躍する姿に思いを馳せているのでしょう。 

ここで「ヘッドフォンの意味」「劇中でのアイドルソング=日向坂楽曲の位置づけ」について考えたいと思います。

最初、ヘッドフォンは桐井の内向的な性格を象徴する「外界との隔絶」的なものだと思っていたのですが、最後を見たうえで考えると、「アイドルの夢への入口」と言ったほうが良い気がします。
描写はありませんでしたが、桐井は隙あらばヘッドフォンをつけて、ありりんの曲を聴いているだろうし、池園はヘッドフォンをつけて修学旅行を思い出しながら桐井の歌声に聴き入っている。
夢のバトンのようなものが繋がれているんです。

また、年頃の女の子なら単独行動している時にイヤホンやヘッドフォンをつけてもおかしくはないのですが、説田たちがそのようなことをしていることはありません。
また、劇中で日向坂の曲が流れるのは、池園が単独で東京を散策している時に街中のBGMとして「雨が降ったって」が使われたのみ。
音楽との関わりを持つキャラクターが桐井と池園に絞られているのも何かあるのではと思わされます。

次に、パンフレットや宣伝媒体で何度も言及されている「ゼンブオブトーキョーが、メンバーの経験を元に作られていること」「普通の女の子がアイドルになる過程で生まれるドラマの映画であること」の2つの観点に目を向けてみます。

このままだと、池園は友達の今泉佑唯を追いかけてひらがなのオーディションを受けた齊藤京子のような位置づけになると思います。
つまり、親しい人がアイドルになり、自分も同じ系統のグループで活躍したいと思うようになったという動機になります。
これが、「従姉妹の五百城茉央が乃木坂に入り、坂道グループに入ろうと思うきっかけになった」というしょげのエピソードと合致します。

また、「普通の女の子がアイドルになる過程で生まれるドラマ」で映画を組み立てるなら、僕だったら桐井を主人公にすると思います。その方が彼女の心情を描きやすく、コンセプトを濃く表面化させるなら、わざわざ池園という軸を置いて、三人称視点で描く必要があるのかという部分の疑問にもたどり着きます。

一見すると、ゼンブオブトーキョーは、「アイドルになりたい桐井を助けるために池園が周囲と協力して夢を叶えさせるストーリー」に見えますが、実は「アイドルになった桐井を追いかけて、同じ道を歩む決意を固めた池園のストーリー」ではないのでしょうか。

最初見終わった時、池園は主人公だったのか?桐井が主人公じゃないのか?という感情になりました。
しかし、それは間違いだったのかもしれない。

普通の女の子・桐井智紗がアイドルになる過程を通して、普通の女の子・池園優里香がアイドルになる決意を固め、アイドルになる過程の一歩を歩みだした流れの中で生まれたドラマ。それが「ゼンブオブトーキョー」なのです。

「日向坂の第一歩」としてのゼンブオブトーキョー

ここまで、桐井が長濱ねるのような夢の叶え方をしていること、池園がアイドルになる可能性について書いていました。

では、池園はどのようにアイドルになるのでしょうか?

桐井が長濱ねるとすると、彼女が加入したグループの運営は、桐井を特例として加入させるための理由付けをするはずです。
現実では、長濱ねるを中心とした「ひらがなけやき」のオーディションがかけられます。
現実での出来事を反映させるという作品の特性上、ゼンブオブトーキョーの世界でも、「ひらがなけやき」に相当するオーディションが開かれ、池園はそのオーディションを受ける可能性が高いです。

これを踏まえると、ゼンブオブトーキョーは池園や桐井のアイドル人生の第一歩を描いた映画であると同時に、「日向坂の第一歩」としての側面も持っていると言えます。


ここまで色々と妄想じみた考察を書いてきましたが、制作側からしたらそんな意図は一切なく、「そこまで考えて作ってないよ」と一蹴されてしまうかもしれません。
しかし、そこまで考察させる程に奥深いゼンブオブトーキョーは、やはり素晴らしい映画です。
いつか熊切監督がこれらについて言及する日が来るのか、来たとして正解なのか。是非とも確かめてみたいです。


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