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会わないつもりの元気でね
これはSCANDALの曲名なんですが、映画「俺はまだ本気出してないだけ」の主題歌になっていました。
この曲自体の切なさや純真さは「ルックバック」にも繋がるのかな?いつ聞いても同じ様に琴線ってヤツが震えます。
映画は見てはいないのですが、この当時に映画タイアップなのか漫画版のコンビニコミックが並んでいました。パラパラとめくってみたのも覚えています。
母親が死んで主人公が「美味しいご飯、沢山作ってくれた。」と言って泣いていたと記憶してます。
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色んな人が世の中にはいます。
僕がシナリオを書き始めた時、そこにあったのは怒りでした。自分を認めない人への、そこそこの評価で納めようとする人への、そしてワクワクしない事への。
「ルックバック」のコラムにも書いたのですが、何かを生み出すには、純粋さと優しさが必要だと個人的に考えています。
ダメな自分。ひとことで終わらせる事なんてない。
皆んな失敗する。偉そうに言ってる人も他人に嫉妬してる人もカッコ良くて憧れる人だって、きっと見えない所で失敗してますよ。
それをダメ!と言うのは違いませんか?
皆んなダメなトコありますよ。形が違うだけじゃ有りません?
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この漫画の主人公はダメ男らしいんですが、このシーンがやけに記憶に残ったままでいます。
「会わないつもりの元気でね」を聞くたびに蘇ってしまいます。
この曲の歌詞も純粋さと優しさで出来ていると思っています。だからこのシーンがシンクロするのかな?
ダメ男でも、これが言える人はダメじゃない気がする。
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今「剣」という物語を書く時、初めてシナリオを書いた時を思い出します。それは明確に嫌いなものへの比喩があるからです。
あの頃受け入れられなかった気持ちの延長線上なのかもしれません。
しかし実は「剣」はかなり滑り出しが好調で、読まれています。
この差は何だろう?と思っていました。
有るとするならば、その不満や嫌悪を敵にしなかった事かと考えます。
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どんな人にも、どんな暮らしにも、一滴の純粋さや優しさはあるのかもしれない。物語とはそんな感情を描き続けてきた文化かもしれません。
だからこそ送り手は怖くなる。
その時の感情が乗ってしまうから。
常に自分を維持しなければならない。
難しいですよね。俯瞰の目を失くさない事。
その上で自分のパーソナルからしか生み出せない。
否定するでなく、腐るでなく、自分の純粋や優しさに手を伸ばし続けなければ。
何かの感情に押し流されそうな時、僕は「会わないつもりの元気でね」を聞きます。
美味しいご飯に感謝出来る気持ちを掴み続ける為に。
きっと貴方にも、そんな何かはありますよね?
そんな願いの為に。
マブ