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【実話】九尾の狐に会った話

執筆 2024年10月23日


これは私の母方の従姉妹である、
Nさんという女性が体験したお話。


今から10年前、まだNさんが
二十代前半だった頃のこと。

具体的な季節は覚えていないそうですが
暑くも寒くもない比較的過ごしやすい
日だったそうです。

Nさんは仕事が休みで、母親の実家である
祖父母の家に遊びに来ていました。


祖父母の家は、普通とは少し違っていました。どう違うかというと、実は、
愛知県の某神社の境内にあるのです。

祖父母が神職をしているわけではなく、
彼らがまだ若い頃、お金がなくて働き場所を探していたところ、
その神社で用務員として雇われました。

ついでに、住み場所として
もともと集会所のように使っていた建物に
住まわせてもらっている、という形でした。


平屋建てのお世辞にも綺麗とは言えない家でしたが、門から出たら道を挟んですぐ目の前に神社の御神木があって、
お隣が本殿というなんとも神秘的な場所です。




ずっと家にいるのも暇なので、
Nさんは外の空気を吸おうと玄関を出ました。


そして、ちょうど御神木の方に向かってある
門扉に手を掛けて、開こうとしたー
その時です。


道を挟んだ先、御神木よりも手前のところに
植物が植えられているところがあるのですが
そこに何かがちらついていました。


気になったNさんは顔を上げます。


すると、その植物の影からこちらを見るように
何かが顔を覗かせていました。


それは、狐でした。


Nさんは驚きました。


ただ、狐がいたことに驚いたわけではありません。


その狐の尻尾は
何本も分かれていたのです。

まるで、九尾の狐のように。


狐は何も言わず、静かにNさんを
見つめてきます。



戸惑って辺りを見回したその一瞬の内に、狐はこつぜんと姿を消してしまいました。



Nさんが狐を見たという場所


Nさんが言うにその狐は、
尻尾が分かれているのとはまた別に、
普通の狐とは違う特徴があったそうです。

普通の狐は、もちろん獣ですから
ふさふさと毛が生えており
角が少ない丸みのあるシルエットをしています。



ですが、Nさんの前に現れた狐は
異様に顔が細長く、まるで置物のような
姿だったそうです。



Nさんの話を元に作成した絵


祖父母の家のある神社には、お稲荷様を祀る
お社があり、そこに狐の像は置かれてはいるのですが、
像の尻尾は1つだけですし、
Nさんが尻尾がたくさんある狐を見た場所からお社は少し離れています。



何か話しかけられたとか、その後良いことがあったとかそういうわけではないけれど
九尾の狐を見たという記憶として
深く印象に残っているとNさんは語りました。



サムネ画像:ぱくたそ

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