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【香港】深夜の地下書店

その夜、中々寝付けず宿の外へ出た。深夜二時。人の消えた大通りに灯りの点いた建物は殆ど無い。昼の喧騒から夜の静寂へ。遅い客を乗せたタクシーが坂を下っていった。朱色の街灯。長く延びた影を辿ると看板が見えてくる。曰く、その古いマンションの地下にはバーやゲームセンターがあるという。深夜に行き場を失った者が集うフロア。階段を降りると一番手前にあるのが本屋だった。店内にはそれでも数人の客がいた。そして客より多くの猫がいた。本を目一杯に詰め込まれた棚。狭い通路。迷路に入り込んだ様な気がした。ふと目が合った女が愛想良く笑う。「ニーハオ。何かお探しですか」(shelter notebook 付録:習作の記憶より)


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