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【短歌】8首/花々と星空のアダージョ

1.密やかな夜風の中で花々は揺れて香りの言の葉交わす
 
2.宙は虹色ときはなち咲く花の芳香麗し沈丁花

沈丁花 3月

3.揺れ動く短き命花のよに瞳の奥に吾子の面影
 
4.呼応する互いの思い流れ星今宵も届く言霊ひとつ

*星月夜は毎月有りますね。 2023年10月の新月は15日月齢0.4でした。
残念ながら私の地域では星が見えるほど澄み切った夜は望めませんでした。

5.星月夜濃藍こあいの宙に星々は撓むる如き煌めき飛ばす
 
6.瞼閉じ聴き入る星の音微やかに響く記憶のガムランボール

*ガムランボールは、バリ島の伝統楽器ガムランの音を再現したものです。
音色は神聖で「邪気を払ってくれる」と言われています。

7.アポロンよ夜の帳が降りる前 宙に記すはぐし人の名
 
8.ヴィオロンの流る旋律懐かしく囁きかける愛のアダージョ

*アダージョ(Adagio)=8首目。緩やかにの意味を持つ音楽での速度標語の一つ。
アルビノーニ(伊)の「オルガンと弦楽のためのアダージョ」が代表的な曲ですね。