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夏休みの短歌

電線の射影に沿って歩く少女
そっとそっとはみ出さぬよう



溌剌なごみ収集車 百日紅
始まったなあ 「夏」が「生きる」が



空洞は2つなんだ 「あ」 
君はまた また吸い込まれ なんだもう夏



着岸のフェリーの門が開くとき
差し込むヒカリ咄嗟に「あぐし」



ビル群だ 靡き揺れては 
街人と夏の暑さにあてられたのだ



湖面には細波たちの文様が
なぞりあなたに逢いにいきます



味わいし孤独の夜々に
残り一本になりし線香



「すぽ しょぽん」 
バケツに手持花火たち 熊本県は最終日の夜



虹描く 空の住人 
はにかみの少女は渡る
哀れむ面様



カルデラの抱擁のなか
流るる血と愛を知るのです



海風に呼ばれた気がする 
戯れる忘失の影 甲板にて見ゆ



過ごした時間ではない
ただ君と目を見て 
はなし したい だけなの



起き抜けの空抱き寄せる
君はもういない 号泣はしなかった



思い出の稜線なぞる ここはどこ
君はだれなの ああ がらんどう

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