藤平式「心身統一呼吸法」
<シネマでTOLK&本deコミュニケーション 31>
先週末にお届けした<本deコミュニケーション>でチラと藤平光一氏が登場したが、この著者の本も出てきたので、USBメモリに保存して処分した。
本は『言葉の「氣力」が人を動かす』(大和出版、1996年6月初版発行)。
30年くらい前、私は、藤平光一氏のお弟子さんのそのまたお弟子さんという方の「氣」の教室に通ったことがある。
氣の教室で呼吸法を習ってからは、教室以外でも深い長い呼吸を行うようになったが、呼吸法を行うと私の場合、手の平がジンジンする。鍼灸師に掌がジンジンすると言ったら、「大丈夫ですか? やめましょうか?」と言われたが、不調になるのではなく体から氣が出て、氣持ちがいいのである。
藤平氏はさまざまな体験をし修行を積み、そして、天地と一体になって良い氣を出す「心身統一呼吸法」を生み出した。
心身統一の4大原則……1.臍下の一点に心をしずめ、統一する
2.全身の力を完全に抜く
3.体のすべての部分の重みを最下部におく
4.氣を出す
1.東洋では古来から臍下丹田は重要視されてきたので、下腹部に力を込めれば臍下丹田は鍛えられるという考え方が生まれた。しかし、臍下に力を込めると胸にも力が入り、肩は凝る、みぞおちは痛くなる。心身統一どころではない……と藤平氏は言う。
藤平氏の「臍下の一点に心をしずめる」方法は……★正座の姿勢から腰を上げる。この状態で肩と腕の力を抜く。肩を何度か上下させると力は抜ける。★そして腰を下ろす。臍下の一点に心をしずめると全身の力が自然に抜け、本当のリラックス状態になる。心をしずめるという意味をイメージできなければ、「一点」と声に出して言うだけでもいいらしい。
2.リラックスとは力を抜いた状態である。力が抜けた状態ではない。本来のリラックスはもっとも力強いのである……とのこと。
3.ピアニストやコンピューターのオペレーターなどキーを叩く人は、指に力が入り肩こりに悩んでいる人も多いらしい。そこで「重みは下」の一言で、無駄な力が抜け、職業病が解消されるとのこと。
私もパソコンのキーの打ち込みは肩が凝る。自転車に乗るのも肩に力が入っている。だから時どき「重みは下」と言うことにした。
「藤平式呼吸法」の具体的な方法
①正座して足の両親指を重ねる。両膝はこぶし二つくらい入る程度に開く。両手は腿の上に。
②背筋を伸ばし、臍下の一点に心をしずめ、全身の力を抜く。
③目を閉じ口を軽く開いて「ハー」と吐き出す。体の隅々の息を吐き切ってしまうイメージ。吐き切ったら軽く上体を倒し、最後の息を吐き出す。これが22秒。
④状態を倒したままの姿勢で鼻から「スゥー」と息を吸い込む。脚、腰、胸と全身に息を送り込みながら十分に吸い込む。体中に息が充満したら上体を起こし、最後に息を吸う。頭に息を吸い入れるイメージ。
⑤息が充満した状態で5秒ほど臍下の一点に心をしずめる。④⑤で22秒。
これをワンセットとして、藤平氏は200回繰り返していたそうである。
再読して、今後はこの方法も実施しようと思うが、これまでの私は……
立って体を曲げ、手を使って、足の裏から氣を取り込むイメージで深く長く吸い込む。体中に氣が巡るイメージで、下から上に両手を上げていく。
体中に気が充満したら数秒息を止め、次は、また両手を上から下へ体を曲げて息を吐き出す。息が足の裏から出て行くイメージ。
私は、難しく考えないで、ただ「なが~く息を吸って、なが~く息を吐く」ということだけを行ってきたので、「心をしずめる」とか「本来のリラックス」とかは、できていないのだろう。
慣れない人は22秒も吐いたり吸ったりは辛いと思う。座って長い息を吐いたり吸ったりするより、手も使ってアクション付きにしたほうが、22秒が楽になる。
吐くことから始めたほうがよいみたいだが、私はまず軽く吐いて(立った状態からまず手を下におろすとき軽く吐いている)長い呼吸は吸うことから始めている。
「気」と「氣」
藤平氏の著書のなかではすべて「氣」という漢字が使われている。「米」は八方に広がっている状態を示している。「氣」とは八方に出て行くものなのである。常用漢字の「気」は「メ」という字を使っている。中国では氣が出て行けば少なくなると考え、気をたくわえておくために出口を締める意味から「メ」を使った。
しかし、氣はためるものではないと藤平氏は言う。出ては入り入っては出るということを繰り返して天地の氣と交流している。「氣」としなければおかしいのである……と、氣の研究会の主宰者は明言する。
なるほどと思い、私も「氣」の漢字を使いたいが、ワープロ作業では「メ」の漢字が出てくる。いちいち「米」のほうを変換するのは面倒。というつまらない理由で「気」を使っている。一応常用漢字ですからね。
日常「気」を使う漢字は多い。元気・気持ち・気分・やる気・根気・気が合う・気に障る・お気に入り・気が短い・気に病む……等など。
日々、良い「氣」を出して元気に過ごしたい。
走り続けることができなくなり走ったり歩いたりの超ゆっくりなジョグウォーク習慣なのに、私が走ることをやめないのは、ジョギング中は(ウォーキング中も)深い長い呼吸をするから。ジョグウォーク習慣は呼吸法の日常習慣でもあるから……。
前回チラと書いたが、「心が体を動かす」という好きな言葉は、藤平光一氏のコトバだと思い込んでいた。が、藤平氏が師と仰ぐ中村天風氏の言葉らしい。中村天風氏の著書も過去に読んだ。ダンボールの中に入っているはず。探して、次回お届けします。