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軒下猫のワイルドライフ

 わたしは、猫の生活・子育てに干渉する気はありません。猫のなわばりが、わが家とかぶっているだけのこと。トカゲだって、テントウムシだって、ふくろうだってそうなのだから。
 それで、なるべく見ないように、見ないようにしておりましたが、縁側など家のすぐ近くで子育てされれば、同じ母親として、つい、目が行ってしまいます。

 母親たるものこうあるべき、がない軒下猫は、人間基準で考えれば、なかなか気難しい、(こういう人をお母さんに持つと、子どもは苦労するだろうなあ)というような母親でした。
 子猫のうち、4-1,4-2はとてもかわいがるのですが、4-3にはとても冷たい。猫の親子には、合う/合わないがあるのかなあ、などと目の隅で見ていると、とうとうある日、軒下猫は、山に4-3を捨ててきてしまいました。(ひゃー。)








 山のどこかから、4-3がか弱く鳴いている声が聞こえます。(わー、これ、どうしよう??)と、狼狽えるわたし。
 4-3は声の出にくい猫で、かすれたハスキーボイスでしか鳴けない子猫でした。
 干渉しない、と強く心に決めていましたが、さすがに山の中に探しに行こうか、いやいや、猫には猫の世界があるのだ、わたしにカマキリの赤ちゃんを全員助けることができるのか、そんなことしたら生態系はどうなるのか、人間基準で判断してはならない、え~でもだんだん声が聞こえなくなって行くんだよね?きっと……、うわ~うわ~、と心揺らぐ数時間。










 ところが、しばらくして異変が。4-3ちゃんのハスキーボイスは消えるどころか、だんだん大きくなってきます。あれっ?と思ったら、わが家の坂の下の方向から、玄関のそばで、縁側の木戸のところで……と、声がどんどん近づいて、4-3ちゃん、なんと、自分の力で軒下猫のところに帰ってきました。
 縁側をよちよち歩いてくる4-3ちゃん。横たわって授乳している軒下猫のところに行って、鳴きながら自分も仲間に入りました。







 軒下猫は、あんたなんかうちの子じゃありません、と、4-3ちゃんを追っ払うんじゃないかと思いましたが、案外知らん顔。他の子猫たちを順番に舐めて、最後に4-3ちゃんも舐め始めました。よし!
 あ~、手を出さなくて良かった……。
 どうしても、人間基準なわたし。










 ところが、数日後、また、山の中から、4-3ちゃんの鳴き声!ま、またか~……。心折れそうになるわたし。それより、さすがに、4-3ちゃんの心が折れちゃうんじゃないか、と思いましたが、4-3ちゃんは再び、生還。軒下猫、無表情でそれを受け入れる……。

 その後親子は、「また数日後……、」を、繰り返すようになりました。何度も何度も繰り返し、何度も何度もわたしは、今度こそダメかもと、怯えさせられましたが、4-3ちゃんは見事に毎回帰ってきて、強い子猫になりました。もう、軒下猫が捨てたくても、捨てられません。
 どうする?軒下猫!







さて、今日は子どもたちが早めに帰ってきます。
続きは、また今度。






 

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