第27話 50代父親 息子に追い抜かれる瞬間。
先日、高校生の息子が野球の試合でピッチングする姿を久々に観戦。
”球が速い・・・”
私の全盛期を超えている(私の野球人生に全盛期なるものがあったかは疑問だが・・・)
私が小学生の頃の父親とのキャッチボールの思い出。
父が会社に行く前、キャッチボールをしてもらったのだが、父の投げたボールは速く重い。
ボールを受けるたびに痛さで涙が出そうになるのを必死に耐え、思い切り投げ返すと、父は笑って、さらに速く重い球を投げ返してくる。
「ナイスボール!」といった声の掛け合いはなく、父の出勤時間まで黙々と投げ合ったセピア色の記憶。
その無言のやりとりが、今にしてみると至極の時間帯。
私が中学になると、次第に父の笑顔が、痛みを耐える顔に変わり、
次第に父が私の投げたボールを取り損ねることが多くなった時、
嬉しくもあり、寂しさも感じたあの瞬間・・・。
(次第に父からキャッチボールしようとの声掛けもなくなった・・・)
そして現在、
私の息子は少し前に私の身長を、そして野球の腕前も父親を大きく超えた。
もう野球で教えられることはないな・・・。
これまた嬉しくもあり、一抹の寂しさも・・・。
今、私が息子に勝っているものは何か。
メタボの腹囲は、息子を圧倒しているが・・・。