「箸(はし)も初めから使えたわけではない」:学習の4段階と成長への道のり
これまで生成AI周りの記事を投稿していましたが、今回は少し方向性を変えて投稿したいと思います。
最近、職場では、リスキリングとか、アジャイルマインドとかいう言葉をよく口にするようになりました。変化の激しい時代だからこそ、考えからもアップデートしていかなければということかと思いますが、アップデートする以前に、基本的なヒューマンスキルも必要なのかなと思い、今回は、昔、部下を指導する際によく話していた「箸(はし)も初めから使えたわけではない」という話を書きたいと思います。
知らないことの発見:無意識的無能
子供が初めて箸(はし)に触れる瞬間を想像してみてください。
彼らにとって、箸(はし)はただの木の棒です。
この時点で、彼らは箸(はし)の使い方を知らず、それが何のためにあるのかさえ理解していません。この状態を「学習の4段階」においては、「無意識的無能」の段階と言います。
人が新しく何かが出来るようになる過程の第1段階は、それが出来ないということすら気が付いていない状態から始まります。
学ぶ意識の確立:意識的無能
子供が箸(はし)を使おうとしたとき、子供たちは自分がどれほど不器用であるかを痛感します。食べ物を掴むことの難しさ、箸(はし)がうまく動かせないフラストレーション。これが「意識的無能」の段階です。
しかし、この段階は非常に重要です。なぜなら、自分が何を学ばなければならないのか、何に取り組む必要があるのかを意識し始めるからです。ここで挫折せず、続ける意志を持つことが大切です。
習得への努力と実践:意識的有能
練習によって、子供は徐々に箸(はし)の使い方をマスターしていきます。これが「意識的有能」の段階です。
この段階では、意識的に技術を磨き、少しずつでも前進していることを実感します。毎回の食事が練習の機会となり、箸(はし)を使うことが日々の小さな成功体験へと変わっていきます。
この段階を経過することで、出来なかったことが出来るようになっていきます。でも、ここで終わりではないです。
みなさんも、箸(はし)をこうやって動かして食べ物を掴ませようとか考えながら食事はしていませんよね。
スキルの自然な習得:無意識的有能
子供たちも、ある日、食事中にふと気づくかもしれません。
もはや箸(はし)の使い方を意識することなく、自然と食べ物を掴んでいる自分に。これが「無意識的有能」の段階です。
スキルが自然と身につき、それが第二の自然となるのです。箸(はし)の使い方に限らず、学んだスキルがこのレベルに達すると、それはもはや、その人の一部となります。
学習の4段階
今回ご紹介した「無意識的無能」から「無意識的有能」までの「学習の4段階」は、人間の欲求の5段階(マズローの欲求段階説)を唱えた心理学者アブラハム・マズローさんが提唱した「学習の4段階」です。
(派生形で、学習の5段階と発展させる考え方もあるようですが、私は元の4段階がすっきりして分かり易いので、こちらで覚えています。)
この4段階で大事なことは、「無意識的無能」から「無意識的有能」に至る過程に、「意識的無能」と「意識的有能」を必ず経過していることです。
簡単に言えば、「意識」する過程を経ているということです。
私は、この「意識」することで人は成長するんだと、「箸(はし)も初めから使えたわけではない」という話を通じて、部下に説明していました。
というわけで、今回の記事はここまでにしたいと思います。