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英語を探せ#45-柔道家はつらいよ、時には取り乱してもいいじゃないか

 パリのオリンピックで、レスリングの日本人の勝者は喜びを大爆発させました。見ていて私たちも嬉しい。一方、勝っても柔道家は喜びを抑え、まず静かに礼をします。見ていてさすが柔道家だと感心します。もし柔道家が勝った直後にレスラーのように喜びを爆発させたら、私は違和感を持つでしょう。

 どうやら私たちは無意識に、柔道家に何か特別なものの具現を求めているようです。

「日本文化に深く根ざした柔道は、肉体的な戦いを超えたある種の哲学か価値観を体現しています」“Judo, deeply rooted in Japanese culture, embodies a philosophy or values that extends beyond physical combat.” では柔道にみる日本のなにか哲学的なもの=価値観とは何でしょうか。
「柔道家は謙虚なマナーと忍耐と自制心が求められます」“Judoka are required to have humble manners, patience and self-restraint.” 柔道家は苦難に耐え、それを見せない謙虚さを保ち、勝利を目指します。しかも勝ち方は、日本的に美しくなければならないのです。審判がわからなければ、ルール違反さえしなければ、勝ちは勝ちという柔道ではないのです。どうやら私たちは柔道家には日本の美や品格を求めているようです。なにか武士道の影響もあるようです。

 柔道家の品格には明治時代に誕生した新しい武道として、武士道の影響もあるようです。新渡戸稲造著『武士道』にあげられた武士の七つの徳は、
Justice(正義:正しい行い)
Courage(勇気、敢為堅忍<かんい・けんにん>の精神、耐えて正義のため前に進む)
Benevolence(仁愛:思いやりといたわり)
Politeness(礼節:勝敗に一喜一憂しない自己抑制)
Truthfulness(誠意:正直で偽りのないこと)
Honor(重んずるのものは名誉、人格的価値),そしてLoyalty(忠義)です。今は封建時代でないので、始めの六徳が大切です。

 そして柔道には「道:生き方」(way of life) がついています。柔道家は「道」を歩く人たちなのです。だから高い理想を求める求道者(spiritual seeker after truth)のおもむきを、私たち求めてしまうようです。
 そして勝負だけにこだわってくる外国人選手と、日本の美しい柔道で闘っているのを見ると、勝ち方にまで品格を求められる日本の柔道家は大変だと思います。
 もう少し柔道家を大目に見てあげるべき、と思います。とくにまだ若い、20代前半の柔道家が負けたときには、周囲の思いやりが大切です。彼らは若く、道は遠いのです。
*イラストはMageでAI生成しました。


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