[ラストマイル]を見て心理学生が感じたこと
映画のざっくり感想
急にふと、今日は映画を見に行こうと思って、前から気になっていたラストマイルを見に行った。
私が中学生、高校生くらいの時だっただろうか。
「アンナチュラル」「MIU404」どちらもリアルタイムで見ていたので
よく覚えている。
話がスピーディーに進んでいき、キャラクターも魅力的。
1話完結にもかかわらず、癖になるドラマで引き込まれていた。
映画本編の話は割愛させていただくが、ラストマイルにかける期待値はかなり高く、やはりそれなりの収穫を得たので共有をさせていただく。
脚本家の方の「透かし力」
映画を観終わって、一番に思ったのは
「思ったより回想とか少ないんだな」
ということだ。話がどんどんと展開していくため、登場人物が一人一人役割を担っているものの、深くは掘り下げられて行かないのだった。
主人公ですら、こういう過去がありそうだと、観ている人に想像させる発言はあるものの、本筋からずれた必要のない回想は全くない。
これはヒューマンドラマではなく、あくまで事件を追ったストーリーであることを認識した。
私が思う「透かし」とは、その人物がとる思考・行動・言葉がこれまでの体験から培ったものとして見えてくる感じがあることだ。
にじみ出る、とも言われるだろうが、私にとっては「透ける」の方がしっくりとくる表現だ。
過去の回想シーンなどがあると、なるほど、そういう体験をすると、そういう言葉になるよなとか、そういう行動になるよなとか、納得と言うか、共感できる部分があるのだ。
だけど、今回はその要素がほとんどなかった。
ほとんど必要なかった、ともいえるのだろうか。
作者の真意はわからないが、どのキャラクターに対しても、思考・行動に対して想像がつくように設計されていたのかもしれない。
誰にでも身近な人で、どこにでもいそうで、いない。
すべてのキャラクターが唯一の人だったにもかかわらず。
言葉、表情、行動、思考、その人を外から見えるものすべて
これまでの体験を「透かす」ものであることに私は感銘を受けた。
だからこそ、これまでのその人に関心を強く持ったのかもしれない。
私が映画に求めていたこと
私は、映画を見るときに、
人の気持ちを知りたいと思ってみている節がある。
それは、さまざまな人が
ある一定の状況に対して
どのように感じ、
どのように考え、
どのように行動するのか
自分の考えに幅を持たせようとしてみている。
だから、回想シーンがあると、共感ができて安心するのだと思う。
そう考えるようになったきっかけはなんだろう
そう行動せざるを得ない理由はなんだろう
ただただ、今回は過去がちらりと透けるだけで、わからないこともたくさんあった。
カウンセリングの場面でも同じなのだ。
相談室の中という、その人の人生の一場面での姿が切り取られていて、
そこからその人を透かしてみようとしているところがある。
映画の中でも同じように登場人物を透かして見ようとしていたのかもしれない。
単純に、自分の思考で完結してしまいそうになる自分に恐怖感を覚えながら
これからも映画を見続けようと思う。