職業に貴賤はないように、ジャンル同志に貴賤はない。だが、ジャンルの中には一流も三流もある。
高校時代に読んだ村松友視さんの「私プロレスの味方です」の中にこんな一節があり、40年以上経った今でも忘れられない視点です。
これは、例えば、野球とプロレスの間に上下ないが、プロレス(ラー)には厳然と一流もあれば三流もある、ということです。
私は新卒で人事部に配属されました。商社の人事というのは、銀行などと違ってエリートコースとは言えません。社内でも、なんとなく傍流、という扱いだったような気がします。
そういう日々の中で、せめて人事として一流になりたい、まあ、一流の人事ってよくわからないので、人事のプロになりたいと思って仕事をしてきました。
プロというのも様々定義があるでしょうけど、現状、細々とながら人事(採用)の仕事でお仕事をいただけているので、まあ、プロと名乗ってもいいでしょう。
さて、採用という仕事は、必ずしもプロではないとできないというわけではありません。別に資格がいるわけでも、専門的に勉強が必要なわけではないし、最近は外資をはじめとして、採用する部門のマネージャーが自分の部下を採用するということも珍しくありません。
それでも外部のプロに依頼するとすれば、他の業務で忙しくて外注したいか、プロの知見を活かしてアドバイスが欲しい、アドバイスだけじゃなくて、全部やってほしい、またはその両方、というような場合です。
商談になると、こんなケースがあります。
総務や経理などをやっている管理部門で採用もしている、その中で特定の職種や年齢層などが採用できずに困っている。
その職種を採用するのに、いいアイデアはありませんか?
ある場合もあるし、ない場合もあります。
採用の手法には、様々ありますが、媒体を使う、人材紹介を使う、ハローワークを使う、といったあたりが王道でしょう。
今増えているダイレクトリクルーティングも、言ってみれば媒体と紹介のハイブリットみたいなもので、なんの手がかりもなくスカウトのメールを送ることはできません。
では、プロではない採用担当者は知らないが、プロは知っている採用方法はあるか?
無いです。細かく言えば、ある職種専門の媒体や紹介会社はあります。自衛隊OB専門の媒体や紹介会社なんかもありますし、特定の資格者むけのそれも結構あります。
でも、その程度のことはググれば出てきます。ググっても出てこないニッチな媒体や紹介会社なんて、誤差みたいなもので、無視してかまわないというのが私の立場です。そういうところには、求職者も求人も少ないので、クチコミだけでやっているような紹介会社など、いくつ知っていたところで効率が悪いだけです。
就職は結婚みたいなもの、とよく言われますが、違います。
会社で隣の席の人と結婚してもそれほど失敗はしないけど、自分の目の届く場所だけで就職しようとしてもうまくいかないことが多いです。
野球に例えるなら、私はプロ野球をやっているつもりです。高校球児が同じ野球をやっていてもうまくいかないから、バットを持たずに出塁する方法をプロに尋ねるのに近いです。
採用は、道行く人に声をかけて、採用することはできません。採用にも野球にもルールがあります。
打席には立っているけど、うまくヒットにならないなら、私とあなたはスイングが違います。と本当は言いたいですね。言えないけど。
仕事の成果は質と量で決まります。採用する側も、採用される側も、質と量を高めていくことが、成功への近道だと思います。