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【書籍紹介】 「近代の超克」論―昭和思想史への一視角

日本の哲学者 廣松渉による近代の超克論のまとめ
 
「近代の超克」論とは、昭和思想史にて盛んに言われていた左翼による大戦の合理化の為のイデオロギー、スローガンとも言えるものでしょうか。
 
もちろん、そんな簡単なものではないですが、確かに左翼とよく結びついていたこともあり、終戦と同時に近代の超克論も衰退していく…
 
その内容は、多岐にわたりますが、「文学界グループ」「京都学派」「日本浪漫派」の三者による「政治においてはデモクラシーの超克、経済においては資本主義の超克、思想においてはリベラリズムの超克」とも言える(ものらしい)。
 
しかし、時代の流れを考慮せずとも、その論理展開には、未熟なところがあり、廣松に言わせれば、三者における近代の超克論は、一幅の"戯画"に過ぎない。
 
それにしても、京都学派の世界史の哲学や、三木清の協同主義哲学には近代の超克を期待させるものがありそうです…が、廣松はそれを所詮は、近代哲学の延長線上にあるものとして結論付けています。
 
この本では、廣松哲学は、全く紹介されていませんが、廣松哲学は常にこうした哲学史、思想史の流れを組んで定位しているのだということを改めて実感しました。
 
廣松亡き今、果たして近代の超克は成されるのだろうか…???


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