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小学生の工作に対する指導の極意を学ぶ

上の写真は前々回の中級コース(小学4年生)の工作のひとコマ。

「まいぎり(舞錐)式 火起こし器」を作り,これから火を起こそうとしているところ。木の板から,はずみ車(円盤)や火きり板(V字の溝をつけた板)などを切り出して組み立てる。

工作キットとして通販でも購入できるが,一つ一つの部品を手作りすることで,それらの構造や働きが分かるようにしている。

このテーマはベテラン指導員のKさん(小学校教員OB)の発案。この工作が終了した後のミーティングでKさんの話を聞き,なるほどと思ったので紹介したい。

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最初,子供達に火起こし器で自由に遊ばせると,ほとんどの子供はうまく火を起こすことができない(失敗を経験)。そこから,以下の手順で問題解決まで導く。

①発熱と回転継続の原理を理解すること
最初は,芯棒に手で紐を巻き付けてから持ち板を押し下げて回転させる。その回転による摩擦熱を利用していることは容易に分かる。

回転動作は一回だけでなく何回も繰り返す必要があるので,持ち板を下まで押し下げたら,はずみ車が回り続けて紐が自動的に巻き付くようにする。

そのためには,一旦,持ち板を押す力を抜いて上に持ち上げるのがポイント。ブンブンゴマを縦にしたと思えばよい。

②火種を溜めること
火きり板(V溝をつけた板)に付いている溝は何のためにあるかを考えさせる。
摩擦で生じた高熱の火種ひだね(黒く焦げた炭)をめるのだと教えれば,写真のように土や石の上で動かすのは火種が冷えるのでダメだと分かる。
ダンボール紙や木の板を敷くなどの解決法が思い付かず,ここで時間切れとなる子供もいる。

③燃えやすい状況をセットすること
火きり板のV溝には木屑など燃えやすい物を置く。それは予め用意しておく(上の写真を参照)。ただ,木屑だけでは火種が隙間からこぼれ落ちる。それを補完するものとして,ティッシュパーパーや糸屑(紐の残りをバラバラにする)も目の前にある。しかし,それを自分の判断で利用する子供はほとんどいない。

④芯棒の先端の形状を工夫すること
工作では芯棒の先端を丸く加工する。この状態で動作させると,横に滑ってズレることもある。

それを防ぐため,芯棒の先端をとがらすなどの加工をしてもよい。そこまで考えた子供は今までいないとのこと。

つまり,最初から答えを教えるのではなく,失敗を経験させて問題点に気づかせる。そこから少しヒントを与え,自分で解決法を考えるように指導する。

将来,実生活の中で問題点に気付き,それを自主的に解決できる大人に成長してほしい,,

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