見てますよ、の威力
住宅街を歩いている際に見かけた看板(たぶん家主の手製)の文言です。
この辺りで犬の散歩をするのはいいけれども、我が家の敷地内で糞尿を垂れ流したら承知しないぞ、という気迫を表現したものと思われます。
きっと今までに、腹に据えかねることがあったのでしょう。
ほぼ平仮名とカタカナで構成された簡潔な文章で、唯一使われている漢字の「見る」は小学一年生で習うものです。
故に「子どもであっても容赦せぬ」という凄みを感じる仕上がりになっています。
特に、ラストの「見てますよ」の威力たるや。
「オシッコ ウンチ させないで」
だけであったなら、わたしの目を引くことは無かったでしょう。
だって、そういう看板はよく見るから。
大事なことは後から言う(ドスをきかせて)という日本語の特性もよく表れています。
だいぶ言ってることは異なりますが、文章の流れとしてはこれと同じですよね。
例えば、順番が逆だったらどうでしょう。
…パンチがない。
というか、何かの標語みたいです。
響いてきません。
だって標語は、怖くないから。
ほら、怖くない。
普段わたしたちが道を歩くとき、誰かに見張られている可能性はあまり意識しないと思います。
ただ目的地までの道のりを歩いているだけ、散歩をしているだけで、別に悪いことは何一つしていませんから。
でも「見てますよ」という言葉を見ただけで
試験官が後ろにいるような
交番の前を通りかかったような
そういう「ここで悪いことはできないぞ」という心理が働く心持ちがいたします。
つまり、この看板は非常に効果的です。
特に、わたしのような小心者にとっては。
…
そもそも小心者は、人ん家の前で犬の糞尿を放置していかないだろうことはとりあえず、置いておくとして。
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