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「今が1番いい時よね」と、わたしは言わない
若かった頃、楽しそうにしていると年上の人たちによく言われた言葉があります。
今が1番いい時よね
羨ましいわ、戻りたい
恋人が出来たのを打ち明けたときも、同じようなことを言われました。
今が1番楽しい時よね
そんなのせいぜい今のうちよ
お子さんを連れた親御さんに、こんなことを言っているのも耳にします。
今が1番かわいい時よね
すぐ口答えするようになっちゃうんだから
***
これらの言葉、一見褒めているように思えます。
素敵ね、あなたが羨ましいわと。
もしくは戒めでしょうか。
「美しいときはすぐに過ぎ去っていってしまうのだから、今を存分に謳歌せよ」という人生の先輩からの、よかれと思っての忠告。
でもわたしには、実は呪いの言葉であるようにも感じるのです。
今が1番いい時、ということはつまり、
「これから先は下がっていく一方よ」
ということだと思うので。
元気溢れる若者
付き合いたての初心な2人
可愛らしい幼子
確かにそれぞれ、素晴らしいと思います。
でも、それが本当に「1番いい時」なのかどうかを決めるのは他人ではなく、その人生を生きる自分なのではないかと、わたしは思うのです。
例えばわたしの場合、若い頃はシミもシワも無かったし、それなりに若さを謳歌してはいたけれども、おばさんとなった今のほうが自由で健康で自立していて、毎日を本当に心から、掛け値なしで楽しいと感じています。
付き合い始めのお互い探り探りの時期もそれはそれで甘酸っぱかったけれども、夫と結婚して一緒に暮らして、少しずつお互いのことを学んで、2人のちょうどよさを構築してきた今のほうが、わたしは断然心地がいい。
全然「今が1番」で下がっていく一方なんかじゃなかったし、そもそも喜びには星の数ほど種類があるものです。
どんな状態を心から「楽しい」とするかには、それぞれ大きく個人差があると思います。
だってわたしは、多くの人が楽しいと思っているらしい飲み会も遊園地もさほど好きではないし、多くの人が「かわいそう」と思いそうな「1日中1人で家で何の予定もなくまったりしている」みたいな時間でひどく心が満たされるのですから。
今は楽しいかもしれないけど
そんなのいつまでも続かないのよ
これから下がっていくのよ
わたしと同じように、あなたもね!
という呪いを
わたしは人に、かけたくありません。
だから「今が1番いい時よね」と
わたしは人に言わないようにしています。