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空港で怒られる哀しみよ
空港って、ワクワクしますよね。
旅行の予定が無くても空港に遊びに来たい。
ラウンジだけでも利用したい。
飛行機が飛び立つところ見たい。
と、空港を訪れる度に思いつつ
一度も実行したことの無い
出不精のわたしです。
最近では手荷物を、機械が預かってくれるシステムがありますね。
係員の方が重さを測ったり形状を確認したりして、丁寧に「お預かりします」と受け取ってくれる時代の終焉。
さあ、どこまで自動化するんだ人類。
旅行の際、この自動手荷物預け機に遭遇したので、手動での預かりコーナーを行き過ぎ、機械の列に並んでみたのです。
大丈夫。
自動改札機だって、最初はドキドキした。
ユニクロの自動会計機にもオドオドした。
学食の食券も、タブレットでの注文も
初めて使うときは緊張しながらも
「全然、慣れてますんで大丈夫よ」
みたいな顔をして乗り越えた。
だから今回だって、大丈夫。
自動手荷物預け機の前に立ち、手順通りに極小のエレベーター個室みたいなところに荷物を置きました。
航空券のQRコードを読み込ませ
危険物とか尖ったものとか入ってませんか
という質問に、入ってませんよと答え
じゃあこのタグを荷物に取り付けてね
と細長いシールみたいなのが出てきたので
言われた通りに取り付けました。
順調。
扉を閉めたところ
しばしのジャッジタイムを経て
「荷物をお返しします」との表示が出ました。
受け取ってもらえない。
エラー内容が表示され、見ると
「タグを付けてください」とおっしゃる。
え、付けたのに。なんで?と思いながら
定位置(と思われる部分)に付け直して
再度、扉を閉じます。
するとまた「荷物をお返しします」との表示。
しかも「元の荷物から重さが変わったので最初からやり直してください」とおっしゃるのです。
重さ、変えてないよ。
誤魔化そうとなんかしてないのに
なんで信じてくれないの…
哀しみを覚えつつも、QRコードを読み込ませるところから再チャレンジし、今度こそ!と扉を閉めると、「荷物をお返しします」と表示され、受け取ってもらえない。
「タグを付けてください」とおっしゃる。
エンドレス!
…
後ろに並んでいる人のため息が聞こえ
何やら囁き声も聞こえてきました。
まずい。そろそろ怒られる。
と思った途端、係員の人がやってきました。
大仰にため息をつき、
「タグをスキャナーから見えやすい位置に
付けないと機械が読み取れないので。」
と真顔で早口、且つ強め口調で言われた後、タグを一回ビリっと勢いよく破いて付け直され、エレベーターですごい急いでる人みたいな感じで画面を操作され、扉を閉められました。
こ、怖い…
たぶん、係員の方は今までに2億回、同じことを注意してきたのでしょう。
「なんで何回言っても分かんねーんだ
このクズが、トロトロしてんじゃねぇ
後がつかえてんだよ」
とお思いだったのでしょう。
その思い、ヒシヒシと伝わってきました。
ようやく荷物を受け取ってもらえたので、後ろに並んでいた方にお待たせしたお詫びをして、ようやく搭乗口に向かうことが出来ました。
大人になると怒られることが減りますが、減るからこそ、たまに怒られると堪えますね。ズシンと来ました。
空港に来たときめきと、旅に出る喜びが少し萎んだ、中年の夏です。