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古き良き時代、なんて存在しない
昭和末期に生まれ、平成、令和と生きてきて、つくづく「あの頃はよかった」なんてのは思い込みだなと感じます。
例えば
今はコンプライアンスばかりで面倒、と嘆く人。
あなたの、他者を慮ることのない好き勝手な言動で深く傷付いてきた人たちは、今の世の方がマシだと思っていることでしょう。
あるいは
昔は社員同士の絆が深かった、と懐かしむ人。
あなたの目には入らなかったのでしょうか。
給料天引きで積立されて強制参加の慰安旅行で、力仕事やお酌などして寧ろ仕事よりも疲れて帰る社員のことなど。
少なくともわたしは
昭和も平成も全然
生きやすくありませんでした。
あの頃はよかった…部分も無くはないけれど
その分、はっきりと悪い面もありました。
何丁目の夕日だったか
「古き良き時代」なんて表現がありますが
そんな時代、本当に存在したのでしょうか。
まず、性差別は当たり前過ぎて、認識すらされていませんでした。
ハラスメント、なんて言葉はありませんでした。
不当感を訴えても、その概念が存在しない世界では話が通じません。
わたしは女性ですが、男尊女卑の激しい世界では(女性やそれ以外の性としてはもちろん)男性として生きるのもしんどいと思います。
村1番の権力者の息子として生まれてしまったら?
父の跡を継ぐのが自分と決まっていて
1人の肩に全部のしかかってきたら?
…
考えるだけで胃が痛い。
差別、無理。
格差、やだ。
格差、というものの誕生は
弥生時代から、と言われます。
稲作が始まったことで貧富の差が生まれたと。
それなら、希望が持てるのは弥生時代より前。
縄文時代。
縄文時代には大きな争いの痕跡も無く、身分や貧富の差も少なかったようです。
一説では、戦の代わりに縄文土器の芸術性の高さでムラ同士の勝敗を決めたりしていた可能性もあるらしいですよ。
縄文時代、良さそう。
でもたぶん、縄文時代には縄文時代の苦悩もありそうですよね。
シャーマンに怪しい占いされるとか
貝が苦手だとうまいもん無いとか
弱いと死ぬ(比喩ではなく)とか。
知らんけど。
やっぱり「古き良き時代なんて無い」
と思っておいたほうがよさそうです。
想像するにこれって、古い時代を知らない若者にマウントを取りたかったお年寄りが思いついた表現なんじゃないかしら。
どの時代も良い部分と悪い部分があって、その良し悪しだって結局、それぞれの主観でしかないと思うのです。