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好きも嫌いもバレている

わたしは、赤ん坊にモテません。

たぶん、あんまりかわいいと思っていないことがバレているのだと思います。

言語のコミュニケーションが未発達であるだけに、きっとわたしの視線の泳ぎ方や、笑顔のウソっぷり、発している電波やもしかしたらニオイなんかも察知して、総合的に「こいつ、あんまり好きじゃない」と判定されているのでしょう。

さすがです。

でも時折、小学生くらいの子どもには懐かれたりします。
たぶん彼らは、小柄で一見優しげなわたしの雰囲気に騙されているのだと思います。
長じて動物的な感覚を失った、ということなのでしょう。

「一見」優しげなだけで、わたしは全然優しくなどないのに。
子どもだからって全部許されると思うなよ、とか思ってるのに。
はいはい、子どもっぽさ演じるの上手だねーとか思ってるのに。

わたし、実はあなたのこと、かわいいと思ってないよ。
犬とか猫とか、トカゲとかヤモリとかカエルの方がかわいいと思ってるよ。
騙されたなフハハハハ!

と本心を告げたらビックリするでしょうか。

人間、40年も生きてたら笑顔なんて簡単に作れるようになります。

ニコニコしながら
「この人、嫌いだなー」
「はやく帰りたいなー」
「今日の夕飯何作ろっかなー」
とか思いを巡らせることが出来るのです。

ようこそ、虚偽と欺瞞の世界へ。

一方わたくし、犬にはモテます。
非常ーによくモテます。

通り過ぎようとした知らない犬が目をキラキラさせて近寄ってきたり、尻尾を振ったり、じゃれつこうとしてきたり、します。
吠えられたことは、記憶の限りありません。

わたしの「好き」が、彼らに伝わっているのだろうと思います。

虚偽と欺瞞に満ちた大人の世界も、実は表面上はうまく付き合っている…ように見せかけて「好き」「嫌い」という非言語情報は案外、お互いにしっかりと伝わっているのかもしれませんね。

そういえば、一瞬懐いてきた小学生以上の子どもたちも、それから長いお付き合いになることはありませんでした。

見せかけの笑顔なんてその場限りのことで、長い目で見たら結局、あんまり意味ないのかもしれませんね。

だったら最初から、作り笑いなんてする必要ないのかも。
自分の気持ちに正直に生きればいいのかも。

そうすれば、お互い本当に好きな人だけが周りに残って、心地よい毎日が過ごせるようになるのかもしれません。

無理しなくても、いいのかもしれません。

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