元塾講師が語る数学の才能

こんにちは、私は個別指導塾で塾講師のバイトを数年続けていました。
中学受験、高校受験、大学受験にむけての勉強法の指導を行ったことがあり、教務可能教科は理系科目です。
体験談を基にしているため主観的です。
ここで語る数学とは、小中高で学ぶ数学を指しています。

1.数学の才能って何ですか

算数や数学の問題には絶対的に正しい解が存在しています。それに対して、その解に至るまでの解法は複数存在しているのが数学の特徴です。
算数の四則演算を例にとってみると、1.2+4.7+3.8+2.3 の計算をどう解くでしょうか。
順番に足していく人もいれば、少数第一位の数に着目し1.2+3.8, 4.7+2.3 の計算を先に行う人もいるはずです。
答えはどちらも正しくなりますが、後者の方がより計算が楽そうです。
「足し算は足す順番を入れ替えても答えは変わらない」ことを知っていて、活用できているのが後者でした。
つまり、数学の才能とは「知識を正しく理解し問題解決のために活用できる能力」と考えています。この点においては後者の方が才能があると言えそうですね。問題を簡単にする能力に長けているように思います。

2.視覚認知が優れている

数学の才能のもう一つに、視覚認知が優れていることが挙げられると考えます。ほとんどの算数や数学の参考書には図が必ず載っています。それを読み理解できる人と理解に苦労する人がはっきり分かれていたかと思います。
この能力の分布が、グラデーションのような分布ではなくはっきり二分化していたということです。
これに関しても、小学校の算数で例を出してみます。
長方形の面積の公式は たての長さ*よこの長さ と習います。
では次の問題を考えてみます。
「複数人が座ることができる長椅子が何脚かあります。A組のみんなで1脚を4人ずつで座ると6人が座れず、1脚を5人ずつ座るとするとぴったり座ることができました。長椅子の数とA組の生徒の数を答えましょう。」
小学算数の問題なので、中学校で習う連立方程式は使うことができません。どういう考え方をするかというと、1脚に座る人数をたての長さとし、長椅子の数をよこの長さとする面積図で比較して解いていく方法があります。
この解き方がよく分からないというのは、面積と量の関係性がうまく理解できていないということです。
この問題に限らず、図形が何を示しているのかの理解度にはかなり個人差がでるなあという印象でした。
「図形や記号的な視覚的なイメージと量などの概念を同一視して考えられる能力がある。」状態を視覚認知が優れていると考えます。

3.言語力がある

数学は自分がどう解くかの計画をしっかり建てていくいくことが必要です。小学校では解き方を多く覚えることが得点向上につながるので、暗記力による成績への影響が強いですが、中学高校と進学するにつれてその影かんがえていmsを考える言語力の影響が強まっていきます。
これは小学校の問題はAならばBという単純な解法が多い一方、問題が複雑化するとAならばB、BならばC、Cならば…と解法が長くなっていくためです。
高校に入ってから数学が苦手になった、という生徒の原因がほとんどこれに起因するものだと思われます。中学校までの数学はとにかく暗記力があれば点数がそこそこ取れてしまいますが、高校数学ではそれだけでは難しいものがあります。
公式を使ってなんとか解こうとする生徒を多く見てきましたが、結果的には自分が今なにをしているのか分からないという状態に陥ってしまっていました。
「自分が今何の計算をしていて、その結果は何なのか、何に使うのかを説明できる能力」のことを言語力と考えます。
やたらめったらに計算をしていても楽に解けはしません。

4.才能は生まれつきか鍛えるものか

個人的には数学の才能は生まれつきによるものが大きいと思っています。
数学をやればやるほど、問題を解けば解くほどそれに比例して成績が良くなるわけではありませんでした。実感としてはどこかの偏差値帯で停滞することが多く、それ以上偏差値が上がる方は稀です。停滞する偏差値帯は個人によってバラバラで、上記で述べた要素が欠けていたことが原因だと考えています。
唯一、努力して伸ばせる項目は言語力の分野だと思います。
幾何学などの分野はかなり生まれつきで得意かどうか決まると思います。

5.最後に

数学の才能が生まれつきで強弱があるとは考えもしなかったことですが、塾講師をやってみてそれを実感しました。
悲しい話ですが、授業を何回かやるとその生徒の成績がどこで停滞するかも分かるようになりました。
それを打破するために、成績が良い生徒はどのような能力があるのかを観察し考えた結果が上記の能力でしたが、やはり身に着けるには時間がかかるもので成績の伸び悩みを改善するのには長い時間がかかります。
皆が苦労している中、簡単にやってのけてしまう生徒が、才能のある生徒であると思います。


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