#57577デザイン室③

#57577デザイン室 、三回目の講義のテーマは「本の再発見」だった。文字の発明から印刷、製本に至るまでの本の歴史を、あららさんお手製のミニチュアサンプルとともに教わった。

 文章を記録した書物がいわゆる「本」の形に定着するまでには、アジアとヨーロッパそれぞれで進化の過程がある。巻物やパピルス、羊皮紙といった断片的な知識は多少あったが、流れとして捉えたことはなかったし(学校でそういう教わり方はしなかったと思う)、知らない内容がほとんどで興味深かった。たとえば巻物。形は可愛らしいけれど、基本的に最初から順番に読むことしかできないという難点があったなんて、想像もしなかった。巻物はもしかすると左利きの人は読みにくいものだろうかとも思った。ほとんどの文化は右利きの人を想定して発展している。

 それにしても昔の歌集、特に重要文化財に指定されている絵巻がなんと美しかったことか。短歌の見せ方とその可能性について、あらためて考えさせられた。

 後半は、短歌をどんな印刷物に載せたいか、それぞれ三つずつプレゼンした。すぐに実現できそうなものと、何年もかかりそうなもの。わたし自身はどれもアリだし、面白いと思った。全部やれればいいのにと思うくらいだ。

 もうあと二回で、なんと卒業制作までこぎつけないといけない! 不安もゼロではないが、でもやっぱり楽しみな方が勝っている。わたしは文学部だったので卒論は書いたけれど、「卒制」という言葉にずっと憧れていた(友達にも芸術系の人はいないので、「卒制」というものは二次元の世界にしかなかった)。まさかこの歳で「卒制」を提出する夢が叶いそうだなんて、人生何があるかわからない。

 

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