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経営者・ビジネスリーダーの心技体とは?(第六稿)

経営経験10年、心理学(NLP、神経言語プログラミング)歴20年、ボディメイク歴5年、MBAホルダーの心技体エクゼクティブコーチのあんそにです。
経営者やビジネスリーダー(以下、まとめて「経営者」と表記)に「ビジネス的成功と人間的成長の支援」を目的として、有益なTipsを発信しています。いつも私の情報発信に興味を持っていただき、ありがとうございます。

第六稿でお伝えしたいこと:

  • 「自分」は「意識」であって、「思考・感情・身体」ではない。

  • 自分(意識)と同一化している思考・感情・身体は、コントロールもできない。分離してからコントロールする(=状態管理)。

  • 自分(意識)が何に焦点を当てるかによって、育つものが決まる。

前回までのあらすじ:

どんな優秀な経営者であっても、人間である以上は、無意識優位の自動運転を完全に排除することは困難。だから我々コーチが存在する。そして、コーチも自身にコーチをつけ、日々、自分の習慣(思考習慣、行動習慣)の改善に努力を続ける。

「場づくり」と「状態管理力」の関係性イメージ図(家づくりに例えると)

第六稿からは、マインドセット③「自分はスコトーマ(心理的盲点)に視点を向ける勇気があると信じること」について語りたいと思います。

経営者のあなたに質問です。

「自分」とは何でしょうか?

「自分」と「自分以外」を分けることが出来ますか?


第四稿で以下をお伝えしました。

  • 人間が他の動物と異なるのは、大脳新皮質が「時間、空間、人称、レベル(抽象と具象)」を作り出しているから。

  • 人称:一人称(私)、二人称(あなた)、三人称(彼/彼女)、一人称~三人称までを俯瞰している視点(メタの視点)

多くの経営者は、自分と自分以外を分けるとしたら、自分、顧客、仕入先、上司、部下、株主、等の「一人称(私)、二人称(あなた)、三人称(彼/彼女)」の枠組みの中で考えるのではないでしょうか?

ただし、状態管理力を更に深いレベルで磨くのであれば、心理学的なアプローチは有効です。

心理学的に「自分(私)」を更に分解すると、意識・思考・感情・身体の4つに分解できます。

意識・思考は、大脳新皮質の活動ですが、感情は大脳辺縁系の活動です。身体は主に筋肉と骨格で形成されています。

脳の三層構造イメージ図

なお、第一稿でご紹介した通り、「心と身体は有機的なシステム」であり、筋肉・骨格と感情は、密接に連動しています。

ここで、「自分(私)」とは「意識」だけと考えるのです。

すなわち、

「思考・感情・身体」は自分(私)でないと考えるのです。

この発想は状態管理力に革命を起こすのです。

意識(自分・私)は視点をコントロールすることが出来ます。ただし、それには条件があります。「思考・感情・身体」は自分(私)ではないと分離できた場合です。

中世以前の人は、水が「水素と酸素の化合物」と意識していない(知らない)ので、水を水素と酸素に分離することはできません。そもそも発想すら浮かびません。

同様に、我々も「人間は、意識と思考と感情と身体が無意識的に同一化している」と意識できなければ(気づくことが出来なければ)、「意識(自分/私)」と「思考・感情・身体」を分離することが出来ないのです。そもそも分離しようとすら思わないのです。

分離できないものは、コントロールもできない。

例えば、あなたが一日の仕事の重責を終え、帰宅する最中に、筋肉に疲労物質が蓄積され、血流も停滞していると身体中に「凝り」が溜まり、大脳辺縁系では「疲れた」という感情が生成され、大脳新皮質では、「こんなに頑張ったんだから、ストレス発散する権利がある」という思考が生まれ、意識(あなた)もその「身体→感情→思考の一連の流れ」に同一化してしまうかもしれません。

そんな時に、ネオン街を歩き、客引きに呼び止められたら、意識(あなた)も無意識の自動運転によって不本意な店に入ってしまうかもしれません。飽くまで例え話です。

もし、あなたが「『身体』は疲労物質が蓄積され、疲れを感じている。『思考の流れ』は、ストレス発散したい、になっている」と思考・感情・身体を分離して、客観的に観察することが出来れば、結果は異なっているでしょう。

ここでのポイントは、「意識・思考・感情・身体が同一化」しているときは、主語が「私」となり主観視している点、「意識が思考・感情・身体と分離」している場合は、主語が「身体は~」「思考の流れは~」となり客観視している点です。

別の事例を紹介すると、第四稿では、NLPのニューロロジカルレベルを紹介しました。

ニューロロジカルレベル by ロバート・ディルツ

ニューロロジカルレベルに例えると、意識(自分)は、自己認識でも信念・価値観でも能力でも行動でも環境でもありません。なお、余談ですが、自己認識は「セルフイメージ」や「アイデンティティー」とも表現することがあります。

ニューロロジカルレベルを用いた「自分」と「自分以外」の概念図

人格(自分)は無数にあると考えます。

  • 夫として妻を大事にしたい人格、妻に嫌味や皮肉ばかり行ってしまう自分

  • 仕事に真摯に取り組みたい人格、仕事を休んで温泉でゆっくりしたい人格

  • 娘に対し見本を示したい人格、娘の前でyoutubeをゴロゴロ見ている人格

  • コンテストに向けて毎日ジムに行く人格、朝の有酸素をさぼってしまう人格

それぞれの人格には、それぞれの自己認識、信念価値観、能力、行動、環境があります。その交差する点が意識(自分)で、それ以外は自分では無いと考えるのです。

すなわち、自分の意志で視点を変えれば、自分の見たい自己認識、信念価値観、能力…を見ることが出来るのです。

そして、「焦点化の原則」(RAS、第三稿参照)」は、意識は一つしか視点を持つことが出来ないので、その一つしかない視点をどこに向けるかで、思考、感情をコントロールできる可能性が生まれるのです。

「焦点を当てたものが強化される」という脳の特性もあります。第三稿で以下の記載をしました。

  • 「心理的なインパクトの大きさ」と「繰り返しの多さ」によって視点は形成される。

自分(意識)が何に焦点を当てるかによって、育つものが決まるのです。

すなわち、これが状態管理のポイントとなります。

意識 ⇔ 思考・感情・身体のエネルギーの流れの概念図

経営者のあなたに再び質問です。

「自分」は「意識」であって、「思考・感情・身体」ではない、と理解することが出来ますか?

自分の意志で、「望ましくない思考・感情・身体」を意識(自分)から分離し、コントロールでき、応用できたとしたら、究極的には「強い組織文化の醸成」「集団的自己効力感の強化」につながると感じますか?


本稿の冒頭で、以下をお伝えしました。

この発想は状態管理力に革命を起こすのです。

再度読み返し、どのように感じますか?

私の経験ですが、難易度は相応に高いと思います。でも、あなたが経営者であるなら挑戦するだけの価値があると思います。

そして、そんなあなたを支援するために我々コーチが存在するのです。

そして、コーチも自身にコーチをつけ、日々、自分の習慣(思考習慣、行動習慣)の改善に努力を続けているのです。

次稿でも、引き続きマインドセット③「自分はスコトーマ(心理的盲点)に視点を向ける勇気があると信じること」に就いて語りたいと思います。

そして、「心技体」と更に深くつなげていきます。乞うご期待!
最後までお読みいただき、ありがとう座います。(第七稿につづく)

第六稿のまとめ

  • 「自分」は「意識」であって、「思考・感情・身体」ではない。

  • 自分(意識)と同一化している思考・感情・身体は、コントロールもできない。分離してからコントロールする(=状態管理)。

  • 自分(意識)が何に焦点を当てるかによって、育つものが決まる。

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