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「確率思考の戦略論 どうすれば売上は増えるのか」の感想


『確率思考の戦略論──どうすれば売上は増えるのか』森岡毅:

総評

森岡毅氏の『確率思考の戦略論』は、マーケティングにおける確率論の考え方をベースに、いかにして売上を最大化するかを論じた実践的な戦略書です。特に、P&GやUSJでの経験をもとにした具体的な事例が豊富に紹介されており、理論だけでなく実践に落とし込む方法が明快に示されています。本書は、マーケティングや経営戦略に携わる人はもちろん、ビジネス全般に興味がある人にとっても非常に有益な一冊です。


本書の主張と特徴

  1. 「売上は確率の掛け算」
    著者の根本的な主張は、売上とは「認知 × 購買確率」で決まるというもの。つまり、どんなに良い商品でも、消費者に認知されなければ売上にはつながらないし、認知されても購入されなければ意味がない。このシンプルな確率論の視点を軸に、どのようにしてマーケティング施策を設計すべきかが解説されています。

  2. 「消費者の意思決定プロセスの可視化」
    本書では、消費者がどのように商品を知り、購入に至るのかというプロセスが細かく分析されています。特に、ファネル理論を応用し、「認知 → 興味 → 比較 → 購買」という流れの中で、どのポイントにマーケティングを仕掛けるべきかを具体的な事例とともに説明しています。

  3. 「マーケティングの本質は確率を上げること」
    マーケティングの仕事は、「認知」と「購買確率」のどちらか、あるいは両方を向上させることに尽きると断言しています。このシンプルな視点が、売上向上のために何をすべきかを明確にするうえで非常に役立ちます。

  4. 「成功企業のマーケティング戦略」
    USJのV字回復の事例を中心に、他社の成功事例も紹介されており、理論と実践のバランスが絶妙です。特に、USJの「ハリー・ポッターエリア」の成功要因や、ターゲット層の選定の重要性が深掘りされていて、単なる理論書ではなく、実際の企業経営に直結する示唆を与えてくれます。


特に印象に残ったポイント

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