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『大いなる眠り』 レイモンド・チャンドラー 著
STORY
十月半ばのある日、マーロウはスターウッド将軍の邸宅に読み出された。将軍は、娘が賭博で作った借金をネタに、ガイガーという男に脅されているという。マーロウは男の自宅を突き止めたものの、建物の周辺を調べている間に、屋敷の中で三発の銃声が轟くのだった。探偵フィリップ・マーロウ初登場の新訳版!
情景描写が面白い。
銃身みたいに黒光する雨ガッパを着た大柄の警官たちがクスクス笑う娘たちを抱き上げて深い水たまりを渡してやる仕事を大いに楽しんでいた。
警官たちの人柄や娘たちの振る舞いで世界観と空気感を生んで引き込まれる。
ストーリーは息つく間もなく、起こる状況は最悪。
その中をマーロウは、知っている事実とトークで相手を翻弄する。
時に力で乗り切っていく。
先にロング・グッドバイを読んでいるが、この小説も読んで良かった。マーロウシリーズハマりそうな予感がする。
先にも書いたが情景描写とマーロウを筆頭に登場人物の会話がユーモアたっぷりで面白い。小説で何かを感じたり考えさせられたりといったことはないが、文章の面白さ、言葉のチョイスやテンポの良さを楽しむ小説。