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『此の世の果ての殺人』 荒木 あかね 著
ストーリー
小惑星が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり自動車の講習を受け続けている。ある日教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める。
まず驚くのが舞台設定。世界が終わる終末に絶望して大量自殺が起こったり、生き抜こうと海外や宇宙へいこうとする者がいる。そんな世界でひとり自動車学校に通う小春と、これまた終末期に運転を教えている自動車学校の教官イサガワってだけで不思議な世界観。
生き抜くために窃盗や強奪も起こる。形だけの警察もいるが、書類整理だけして規模縮小をし続けている。
ある日、教習所の車の中から女性の死体を発見する。
見つけた小春とイサガワが犯人を探し始める。
世界の終わりに人は何をするのか。
悪人を殺してはいけない理由(命を脅かされない権利)死刑制度のある日本にいるせいか、やはり考えさせられる。
けど、大切に思っている人が殺されたらやはり許せない。
右の頬を叩かれたら、右の頬を叩き返したいと思ってしまう。
ただ、悪人を直接自分で殺したら、後の自分は殺す前とは別の人間になってしまい、もとには2度と戻れないことだけは感じる。
恐怖に負けず、怒りに負けず、衝動に負けず、静かな心で自分はどうするのか考えることは必要だし、大切だな。と読んでいて感じた。
おそらく世界に正解はない。ひとりひとりが自分で決めることで到達した世界があるだけ。それなら流されず自分で出した答えで良いだと思う。
もし仮にこの小説のように本当に終末が来るなら、僕はおそらく周りに流されると思う。けど、本当は誰にも会わないエリアで食べ物や生活に困らないならひっそり静かに終末を迎えたい。
第68回江戸川乱歩賞受賞