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鼻くそ

先日、リビングで鼻をほじっていた。
実家なので誰の目も気にしないでグリグリとほじっていたのだが、そこにいた父が鼻をほじっている僕を見て「なんか汚ねえなあ」と言ってきた。

すると、父はその光景を見て何か思い出したのか
「そういえばこの前、電車に乗っている時に向かい側の席に女子がいてさ」と言い、「その子がさ、こうやってた」と、鼻の穴に人差し指をチョイチョイと入れて、その指を口に入れる仕草をする。

「鼻くそ食べてたの?」

「そう」

「マジか、きたねえな」

「普通に見た目もキレイな感じの女の子だったけどな」

ちょっ、えっ?
大人?

「え、女の子って何歳ぐらいの?」

「幼稚園児か小学生ぐらいじゃないかなあ、たぶん」

「なあんだ」 

電車に乗っているという点と、「キレイ目」という父の言葉のチョイスから、結構ちゃんとした大人の女性を想像してしまった。
子供ときいて少し安心した。

「子どもなら分かるわ。だって子どもの時って、何かとみんな鼻くそほじって食べるじゃん」

もちろん、かく言う僕も子供のころはよく鼻くそを食べていた。弟に「鼻くそ、おいしいよ」と鼻くそをオススメしていた記憶さえある。今思うと、なんという汚い子どもだろうか。

「まあな、おれも子供のころはよくやってたからなあ」

父も子どもの頃はよく鼻くそを食べていたらしい。

「おれの今教えてるチビちゃんもよく授業中、鼻くそ掘って、その指舐めてるよ、ハハ」

父はいま家庭教師をしている。担当している小学生の男子生徒もよく鼻くそをほじって食べているそうだ。


ふーん、やっぱり、みんな鼻くそ食ってるのか。 

おれだけじゃなかったんだ。

ちょっと安心。

胸を少し撫でおろしつつ、ふと思った。


子供って、なんでこんなに鼻をほじって食べるのだろうか?


純粋な疑問だった。

現に幼少時代の僕や父を含め、これだけの多くの子どもたちが鼻くそを食べている訳だ。

単に、少し塩気があって意外に無味なので、思わず口に運んでしまうという理由以外に、もう少し深い理由があってもおかしくない。

人間の行動や仕草がしばしば心理学や遺伝学で説明されるように、このような一定の行動には何かしら心理的な要因なり、遺伝子的な要因なり、なんらかの形で説明がつくのではないか。

たしか、子どもがよく「うんち、うんち」と口にして面白がったりして、うんちに興味を持つ傾向があるのは、子どもの成長段階である肛門期という時期に関係があるという話を聞いたことがある。

そう考えると、この鼻くそを食べる行動にも何かそれなりに深いワケがあっても良さそうだ。

「子どもがあんなに鼻くそ食べるのって、なんでなんだろうね?」

父に尋ねると、うーんと唸ってから、「なんでだろうなあ」と言った。




、、、、、



なんでなんだろうか?

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