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ローレンス・ブラウン、闇を切り裂く。

こんにちは(^^)

 年明け、岩手は雪は降るものの、午後には解けてしまって、ホントに地球温暖化を感じる年になってます。
今年は放流しているサケも川にまったく帰ってこなくなってるようで、なんだか不穏で気持ち悪いなぁ、と思う今日この頃。
 
 そんな先行き不安な毎日に、手元に届いたレコード、ローレンス・ブラウン/スライド・トロンボーン。

 今回、購入したのはこのジャケットに惹かれたのがきっかけ。デザインはデヴィッド・ストーン・マーティン。トロンボーンの先から発射されたガンダムのビーム砲のような赤い光が漆黒の闇を切り裂く、といった絵面、一目惚れでした。

ローレンス・ブラウン、どんなカッコいいプレーヤーかと思ったら。
ぽっちゃりした、落ち着いたおじさん。
ストーン・マーティンのジャケットにはこんな感じのサインが入ります。

ジャズを聴き出してかなり経ちますが、ローレンス・ブラウンはこれまでまったく知りませんでした。
幸い日本語の解説があったので読みましたが、デューク・エリントンのオーケストラで早い時期と晩年に活躍したスライド・トロンボーンの名手とのこと。
クレフレーベル、デューク・・エリントン関係ということで、良き時代(スウィング)の名残りというか、明るく、温かな雰囲気のある音づくりを想像します。
メンバーも知らない人が多いのですが、たぶん和気あいあいやってそうです(*^^*)

それでは聴いていきます!

A1 ローズ・オブ・ザ・リオ・グランデ。未知のリロイ・ロヴェットのジャンジャン鳴るピアノの粋な幕開け、そのあとからローレンスのリラックスした、ビーム砲というよりは膨らんだ風船が空気を出しながら飛んでいくような音が続きます。彼のトロンボーンの音は仕事や人に疲れた、不安な気持ちを明るくする光(熱量)があるように感じます。(^^)。
 その後、良く新聞に名曲CDの広告が載ってるスケベテナーの大御所(勝手なイメージ)、サム・テイラーがスゥッと入ります。ローレンスとの絡みが楽しげ。ちなみに全然スケベではありません。

もしくは魅惑のテナーサックスの売り込み。(同じ人だと思うけど。)

A2 キャラバン。デューク・エリントンは詳しくはないけれど、これは知ってます(^^)たぶん、皆さんもどこかで聴いたことあるはず。エリントンらしい妖しくミステリアスな曲をルイ・ベルソンのお洒落なドラム、リロイ・ロヴェットの小粋なピアノで軽やかに始まり、そこへたたみかけるようにローレンスの目の覚めるようなキャラバンのテーマ、これがめっちゃカッコいいです。
その後のサム・テイラーのテナーは仲間思いな感じ。ローレンスを助けながら、一歩下がって寄り添います。
これは良い!

キャラバンにこんなにバージョンがあるなんて。

A3 ダウン・ザ・ストリート、ラウンド・ザ・コーナー・ブルース。突然の優男の謎の歌唱(誰かは不明とのこと)が入ります。フレッド・アステアのようにつぶやく歌とローレンスのノリノリのトロンボーン。
これはこれで優しく、落ち着いた気持ちになる曲。

A4 ホエア・オア・ホエン
作曲がロジャース&ハート、映画音楽。ローレンスとサム・テイラーのどこまでも優しく、のどかな、春の菜の花の咲く丘にいるような、繊細な光に満ちた曲。いや、素敵です。

A5 ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス。こちらはコール・ポーター作曲のおなじみのスタンダード。ここでメンバーが変わり、ビッグバンド編成に。ジョー・ジョーンズ(ds)とハンク・ジョーンズ(pf)の出だしやよし!この二人、とんでもなく粋なバックです。そこにローレンスのぷわーんと、肌がゾクゾク粟立つおなじみのテーマ。もはや快楽。この人のトロンボーンはどこか夢見がち、でもクリント・イーストウッドのような男の色気もあって、バンド全体が彼のために!となってる感じがあります。
トロンボーンというと、ボブ・ブルックマイヤー、J・J・ジョンソン、カーティス・フラー、カイ・ウィンディングあたりを聴いてきたけど、ローレンス・ブラウンのこのアルバムが歌心があって一番好きかも。

B1 イル・ウィンド。虹の彼方へのハロルド・アーレンの曲。ゆったりと古き良き時代を思わせる、ビッグ・バンドのスウィング全開の演奏。

B2 ユー・トゥック・アドヴァンテージ・オブ・ミー。こちらもロジャース&ハートの華やかな曲。こちらもビッグバンドスタイルなんですが、ここではハンク・ジョーンズの、洞窟の中で岩を穿つような、ズシーンと来るピアノが前に出ます。らしさ全開。この人のピアノはどこにいても聴き分けられそうです。

B3 ブルース・フォー・デューク。
デュークと言いながら、デューク・エリントンじゃなくて、カウント・ベイシーみたいな矢継ぎ早なビッグバンドミュージッとなっています。
トランペットが奥の方で煌めきつつ、ローレンスの疾走するトロンボーンが重さを持って真ん中を貫きます。ジャケットのビーム砲はこの曲のことか、とちょっと納得(*^^*)

B4 ジャスト・アズ・ソウ・ユー・ワー・ヒア。
リー・モーガンのリメンバークリフォードを思い出すような、夏の夕暮れ、恋人と海を眺めるようなロマンチックなトロンボーン(なんて、自分に酔ってるだけかな)。

B5 ニューヨークの秋。言わずと知れた、ジャズを好きになったら避けられない名曲。大人びた、太さのあるテナー、アル・コーン。そこへつんざくようにフィル・サンケル(未知)それともアーニー・ロイヤル(未知)のトランペット。そしてきらめく鉄琴?の涼やかな音(誰の演奏?)、最後にローレンスのメロディアスなテーマ吹奏でこの変化に富んだアルバムは幕を閉じます。

良いもの聴いたな、とホカホカした気持ちでレコードをしまいました。

明日は頑張ろう(*´ω`*)

リー・モーガン、トランペットによる、スピード感ある演奏。

全然違うものに聴こえるけど、それがビリー・ホリデイ。「よくある不幸なこと」にぴったり似合う歌手は彼女が一番(-_-;)

映画「ラウンドミッドナイト」、観たことありますか?こちらのデクスター・ゴードンが主演してます。これが、渋い!

歌はこれがおすすめです(*^^*)このアルバムの他の曲も是非!

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