デヴィッド・ストーン・マーティン、気怠い女たち。
僕がレコードを集め出したのは5年位前のこと。
それまでのCD集めでは味わえなかった、なんとも言えない良さがレコードにはあります。
一つはふくよかな、丸みのある音、2つ目はしっかり音に集中出来る片面20分程の時間的制約。
そして何よりジャケットの大きさ、美しさ。
そこに詰め込まれる時代の空気、センス。
それを集めるのが楽しくて、レコード収集を続けていますが、
たまにこれは!というレコードに出会います。
今日紹介するのはハンク・ジョーンズのアーバニティー。
私のコレクションでは過去イチ高い値段のレコードです。
A面は石を割るようなゴリゴリのハンクらしいピアノとジョニー・スミスなる優男っぽい爽やかなギタリストとの掛け合い。レイ・ブラウンも参加してますが、ピアノとギターの後ろにいてあまり目立ちません。
B面は古いハンク・ジョーンズのソロ?録音が古いせいか、A面と違い、タッチの優しいハンク・ジョーンズが聴けますが、あんまり印象には残らない内容。
…なぜこんな渋くて内容も一部いまいちのレコードが最高の値段なのか?
それはジャケットの美しさ、いかがわしさに尽きる訳です。
ジャケットのデザインはデヴィッド・ストーン・マーティン。
ヴァーヴに数々の名作ジャケットを描いた絵描きさんです。
窓から街並みを眺める夜の仕事らしき女性。
腰からお尻にかけての女性美をコレでもかと投げかけます。
女性が裸になってるレコードは多々ありますが、そういう直接な表現ではなく、描画でジャズミュージシャンたちの姿や、娼婦や夜の女たちの気怠さや苦悩、美しさが滲み出すところがイイのです(^^)
他にもビリー・ホリデイの数々のジャケットでも優れたものがあり、紹介していきたいと思いますが、今日はここまで。
彼のことを個人的にひっそりと好きだった僕は悔しいけれど、最近、村上春樹さんが彼の本「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」を書いたので、そちらも見てもらえたらと思います。
でほまた。