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【記者日記】 読売の誤報問題から見える 大阪府市との怪しい関係
かわすみかずみ
10月1日の読売新聞朝刊に小さな記事が載った。そこには大阪市がIR用地を事業者に引き渡したと書かれていた。記事によれば「10月から市に約2億円の賃料が入る」とのこと。「夢洲カジノをとめる大阪府民の会」(以下府民の会)は記事を知り、緊急行動を行った。筆者が市万博推進局に内容を確認したところ、同局は「今月からは入りません」と回答した。
事業者と府市が交わした協定書には、土地の引き渡しの際の条件として、液状化対策、地盤沈下対策、土壌改良などが済んでいることがあげられている。昨年12月から始まった液状化対策工事は3〜4年かかると言われ、さらに土地改良や埋設物撤去なども含めると長引く可能性が高い。
土地の整備が終わったらところから引き渡す予定だが、現在は引き渡されたところはないというのが実情だ。
府民の会は読売新聞や同様の記事をあげた報道機関に訂正を求めた。読売新聞は10月29日付で訂正記事を掲載。他の報道機関も記事を訂正した。筆者は読売新聞法務部に対し、記事の根拠を尋ねるメールを送ったがブロックされた。読売の記事には記者の名前はなく、電話で記者名を聞いても答えなかった。
大手4紙(毎日、読売、産経、朝日)に同様の記事があるかどうか確認した。前述の読売の記事の他、朝日が10月2日の夕刊に掲載している。だが、朝日には「10月以後最大2億1千万円の賃料が発生する」と書かれ、情報を得た後に確認を取っている感覚があった。毎日、産経に同様の記事はなかった。
10月14日には大阪維新ジャーナル10月号が大阪府内に配布された。そこには、上述の賃料の記載があった。また、「京阪中之島線の延伸を含む鉄道の延伸や都市開発が加速する」旨の記述があったため、大阪維新の会にこの記述の根拠を尋ねる手紙を送ったが、維新の会からは未だ回答はない。
京阪ホールディングスに鉄道延伸の予定があるかどうかメールで尋ねたが、「未定である」と回答がきた。
大阪維新の会は賃料についての記述は誤りだったと認め、ホームページで訂正したが、鉄道延伸等については触れていない。
大阪維新の会が大阪維新ジャーナルを配布した10月14日は、衆議院議員選挙の最中だった。虚偽内容を有権者に伝えたことは公職選挙法に抵触しないのか?限りなくグレーな感覚が消えない。
また、読売、朝日の記述の違いは、両社の記者の姿勢の違いとみることもできる。ネットの速報で1日に流れたものが読売の記事だったことからもわかるように、市もしくは維新の会から読売、朝日にリークされた記事だと推測できるが、朝日はさらに調べて確認したのだろう。読売が速報にこだわったこととの差ではないか。
読売は大阪府と包括連携協定を結んでいる。当時の大阪読売の主筆の会見を見て、筆者の師匠であった故石塚直人氏(元読売大阪記者)は、「あれはだめな記者ですね。ごますってのし上がったタイプ」と言った。主筆は当時会見で「協定を結んだからと言って忖度することはない」旨の発言をしていたが、さて、どうなのだろう。皆さんのご意見を乞う。