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大阪維新の会·野宿者支援候補者を「ヨゴレ」と拡散
かわすみかずみ
2024年12月28日、大阪市西成区在住の稲垣浩氏は、大阪地方裁判所に訴状を提出した。訴状によると稲垣氏は、2023年3月の大阪市議会議員選挙に立候補した稲垣氏の選挙ポスターを使って、選挙期間中に、ツイッター(当時)上で「ヨゴレ稲垣」と加工して拡散したとして、被告である高石康氏(ツイッター名:やっぱり満里奈様)に対し、金242万円と訴訟費用全額を支払うよう求めている。
原告は、被告が原告の選挙を妨害したと主張。また、原告が釜ヶ崎の人々と長年ともに歩んできたことから、釜ヶ崎の人々や自分を侮辱する言葉と捉えたと語る。
2025年2月には、被告側から答弁書が送られてきた。高石被告の弁護人は橋下徹氏が所属する橋下綜合法律事務所の松隈貴史弁護士。
答弁書には、「本件投稿の内容は表現の自由の範囲内であり、違法性はない」と書かれていた。
被告側は「ヨゴレ」という用語だけでは、一般的に読者は何のことか理解できないという。フォロワー数が200人程度だったことや、投稿が1度だったことから、攻撃性は低いと主張している。
2月27日に行われた第1回目口頭弁論では、原告側弁護士3人と稲垣氏が出席したが、被告や被告代理人は欠席だった。
傍聴者は16人だったが、稲垣氏とともに野宿者に寄り添う人々が多かった。原告の意見陳述では「釜ヶ崎の労働者は日々雇用される日雇い労働者です。働いて賃金を得て生活する労働者の一群です。その労働者や野宿生活者を『ヨゴレ』とさげすみ差別することは許されないことです」と述べた。
原告は、被告の行為が公職選挙法、名誉毀損、侮辱などにあたるとする。被告はこれについて、公職選挙法違反であるなら刑事告訴すべきだがしていないのはなぜか、と答弁書で反論した。
公判終了後、原告は「相手側が出てこない裁判にびっくりしている。きちんと出てきてこちらの話しを聞くべきだ」と言った。
次回公判から、被告側がオンラインでの参加になることが弁護士から告げられると、傍聴者から驚きの声が漏れた。
原告側弁護士のひとりである牧野幸子弁護士は、これまで野宿者が関わる裁判を複数経験している。牧野弁護士は公判後に「勝たないといけない裁判だと思っています。『ヨゴレ』が差別と(裁判官に)きちんとわかってもらわないといけないと思っています。公然と差別されている、選挙に絡んでやっているということがまかり通ってはならないと思います」と述べた。
傍聴者からも「絶対に許してはならない」など維新の会を糾弾する声が飛んだ。
次回の公判は4月24日(木)16時から。