踊っている?踊らされている?〜『財布は踊る』の感想〜
大ヒットした『三千円の使いかた』の著者・原田ひ香さんの『財布は踊る』を読みました。『三千円の使いかた』は社会情勢に合ってなくて、ぬるいと感じる場面も。今回の『財布は踊る』はかなり実状に合わせていて、リアルな作品になっています。
内容
主語からみる主従関係
本作のタイトルの主語は「財布」。前作のタイトルに主語はないけど、主語が人間であることは明らかです。『財布は踊る』を読んでいると『三千円の使いかた』に比べて、コントロールが利かないくらい経済が悪くなっているのでは?と感じます。
お金を能動的に使っているのではなくお金を使わされている受動的な状態で、可処分所得が限りなく減っているように思いました。amazonのあらすじは希望に満ちた感じでまとめているけど、少なくとも私にはハッピーエンドには感じられなかったです
お金から逃げる人は家庭からも逃げる
ネタバレありです。
この作品は短編集で章ごとに主人公が代わります。一つ一つは独立した話しだけど、ゆるやかに全てがつながっていて登場人物たちのラストがわかる構成。
あらすじにもありますが、第一章の主人公・みづほの夫は200万以上の借金をします。理由はクレジットカードのリボ払い。学生の頃に「どんなに使っても引き落としは月3万!」の謳い文句で自動リボ契約にしてそのままに。利息で200万までいっちゃったパターンです。
学生時代にリボを知らなかったのはしょうがないけど(しょうがなくないけど)、元金いくらで利息いくらみたいな明細書は来ると思うから全く見ていないというのは考えづらいです。
おかしいと思った時点で誰かに相談するとか、クレジットカード会社に問い合わせるとかないの?なんか変だけど怖いからそのままにしていたように思います。
後々、この夫は部下と浮気するけど読んでいて「あー、やっぱり」って思いました。借金の返済もしてくれて仕事もうまくいっている妻にプライド傷つけられたのでしょう。ものすごい逆恨みだなー。
モラルと破産の間で
この作品を読んで知ったのですが、子どもの奨学金を事業に使う親がいるそうです。金利が1%ほどなので普通に借りるより安いからという理由で。申請時に収入ではねられないように、年収も操作して提出するみたいです。(役員クラスであれば収入操作もできるからね)
とりあえず金銭的に困っている家庭でもなんでもない!学費払えるのだから、事業も破産寸前ではないと思います。こういうのってどう対策とればよいのだろう?
みづほの事業がヤバくなったときにコロナ支援金を申請します。傾いた理由はコロナでもなく、いろいろな判断ミス。破産すればよいとは言えないけど、もやもや感は残りました。
岐路に立たされる奨学金
「奨学金の返済が大変だった」この話し、いろんなところで聞きます。私が高校3年生だった20年前は、「卒業して働いたら返せるから、奨学金借りて大学行ったほうがよい」と先生方はすすめました。
うん、そんな簡単なものじゃない。
ここ数年は奨学金をすすめる先生ってどの程度いるのかな?すすめてもよいけど、返済の説明をもっとしたほうがよいと思います。奨学金って借金だからね。いや、先生じゃなくて貸す側の仕事か。
まとめ
Amzonのあらすじに「お金のつくりかた」と書いているけど、私には「お金とのつきあいかた」を書いた小説に感じました。よいおつきあいにするためには、相手のことをよく知らないとできないな〜としみじみ。知らないだけで敵にもなる相手だからね。
リバ払いのデメリットはもっとマスコミで広めた方がよいと思います。スポンサー関係で難しければ、NHKでやってください。人生狂わす元凶になりかねないからね。とりあえず、リンク貼っときます!
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