まるで小説!?な旅エッセイ〜読書喫茶・ 四六四六堂〜
本日のお客様
ちりん…。ドアに付いている鈴が鳴りました。お客さんが来たようです。
「初めてなんですけど…。」30代くらいの女性が入ってきました。白いシフォントップスに紺のスカート、足元はピンクのバレエシューズです。
「お好きな場所にお座りください。今、リクエスト伺いますね。」店主はメモとペンを持ってお席に向かいます。
「読書はよくする方だと思います。エッセイばかり読んでいますね。え?小説?実は苦手でほとんど読まないです。作り話って思うと話に入っていけなくて。あと登場人物覚えられなくて話がわからなくなるのもあるかも…。自分で選んだ本だと似たり寄ったりになるので、何か目新しい本を紹介してください!
なーるーほーど。まとめると、こうですね!
エッセイはよく読むが小説は苦手
小説はフィクションなので世界に入っていけない
そもそも登場人物を覚えられなくて話がわからなくなる。
では、こちらの本はいかがでしょうか。
この本は旅エッセイですが、小説のようなストーリー性がありテンポ良く読めます。また主な登場人物は4人と少ないので、覚えきれなくて話がわからなくなる…といったことはなさそうです。
自己肯定感つよつよの祖母とイギリス留学経験のある孫のロンドン珍道中。2人のやりとりにクスッと笑ったり祖母姫の格言にグッときます。そして注目したいのは「"T"と、その仲間」の章です。厳しさと優しさ、プロフェッショナルの誇り…。登場人物たちの魅力がギュッとつまっています!
お茶とお菓子
イギリスといえば紅茶とスコーンですが、それじゃあまりにも芸がない。
一捻り加えたものをご用意しました。
お茶
京都・一保堂の渋めの煎茶。
お菓子
とらやの羊羹「夜の梅」を分厚く切ったもの。
どちらも作中で出てきたものです。外国を意識すると自然と自分の国を意識するんだなーとしみじみ感じました。ちなみに羊羹はイギリスで「ビーンズプディング」と呼ばれているそうです。
店主のひとりごと
この本の最大の特徴は泊まったホテルの名前や住所が一切書いていないところ。旅エッセイでは記載してナンボの情報が全然書かれていない。話が面白いのはホテルのおかげでもあるのに…。ただ、どこのホテルかわからないからこそ虚実入り混じって世界観に入っていけるのかな?