ミステリーサークル
「こ、これは…」
男は目の前の麦畑に大きく円状に描かた模様を眺めていた。
麦の穂は根本からなぎ倒され、見たこともない模様を描き出している。
「これがあの有名なミステリーサークルか」
男はそうつぶやくやいなや すぐに新聞社に電話を入れた。
男は一躍時の人となり ミステリーサークルは連日多くの見物人が訪れ写真を撮っていった。
専門家にも見てもらうと、人間にはこんなモノを作る事は不可能であると判定された。
また、ミステリーサークルの中には未知の有機物もたくさん転がっており、地球では発見されていない貴重な品だということで高値で売れた。
男は喜んだ。
麦の売り上げの何十倍も稼ぐことが出来たのだから。
少しした後、世界各国で同様のミステリーサークルが次々と発見されだした。
ミステリーサークルの発見が相次ぐ中で、遂に未確認の宇宙船が地球のすぐ側を航行していることが判明した。
人間たちはこぞってコンタクトをとった。
地上絵、様々な電波、拡声器などで呼び掛けた。
もちろん自分の敷地内にミステリーサークルを作ってくれと呼び掛けたのだ。
その熱心な呼び掛けに答える形で ついに宇宙人との会談の場が設けられることになった。
地球人はどう宇宙人をもてなすのかと会議を重ねた。
やはり口に合うようにと地球の食べ物ではなく、ミステリーサークル内で採取した有機物で料理を作ることにした。
美食家たちはこぞって高評価を出した。
そして自信をもって会談の席でその料理を振る舞ったのだ。
しかし 宇宙人は青ざめすぐに宇宙へと飛び去ってしまった。
宇宙船内では宇宙人同士が困惑した表情で会話をしていた。
この星の生き物はなぜ我々の仮設便所に群がり、排泄物を嬉しそうに触っていたのでしょうか。
それに熱心に仮設便所を作ってくれと頼んでもいましたね。
しかも我々の排泄物を我々に食べさせようとしてくるとは。
こんな野蛮で汚らしい生き物が支配する星とは友好な関係は結べないな。
調査中は良い関係を結べそうだと思っていたのだがな。
撤退しよう。
そして この星には二度と近づくまい。
他の銀河の連中にも知らせておこう。
宇宙の端にとんでもなく汚い生き物が蔓延る星があると。
こうして地球は広い宇宙の中で孤立したのであった。