14. 現場リーダーの権限/渡り介護士の見る景色
リーダーはこれらの作業はやらなければいけないが、その自分の管轄内で起こる事の選択権や決定権がないのが介護施設のリーダーである。
こっちが管理するであろう現場にどんな容態の利用者が入ってくるか決められないのだ。もちろん
「今、現場はこんな状態です。その利用者の介護が増えると、こうなってこうなりますので、難しいです。」という意見なんて通らない。
相談もなく決定事項として現場に伝わってきて、やり方は現場に丸投げされる。
またどんな介護士が配属されるかも決められない。もちろん新人介護士の面接に参加できる訳もなく、人手不足だから誰でも採用されがちである。どんなポンコツな新人でも指導は現場に丸投げされる。
上手くいっている現場なんて、ほぼないわけだから、前リーダーからの負の遺産もたくさんある。そんな負の遺産の解消も新リーダーに期待される。なぜ今までの尻拭いをこちらがやらなければならないのか、やる気みなぎる新リーダーのやる気の炎がみるみる弱まって行くだろう。
現状維持が関の山、現場環境を向上させていこうなんて気持ちには到底なれないのである。誰も憧れない、やりたがらない、雑用係のリーダーが回ってきたこの優秀な介護士は、果たしてこの仕事を続ける事ができるのであろうか。
そして先のオレンジ色枠の人たちであるが
今回〝意識高い型〟は介護士にあまり見ないので省いて話をする。
残り3マスのオレンジ色の介護士たちだが、いつまでも役職とは無縁な状態で責任も無く、マイペースで働いている。ひどいストレスもなく辞める理由もない。だからその介護施設で長く在籍して長老になったりする。
なので経営の長い老舗介護施設なんかでは、グルグル介護士が入れ替わっていく内にどんどん長老が残っていき、お局だらけのダラけがちだが独特のルールが乱立する変な施設へと変貌していったりする。
そうなると新人退職者を大量生産する、最悪のモンスターハウスが完成するのである。できる過程ではなく、完成後に現場を丸投げされるリーダーは大変である。