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2. 新たに採用された職場 /渡り介護士の見る景色
「いい人からどんどん辞めてっちゃう。」
介護施設でよく聞く言葉を言われながら、頭を下げ退職をする。理由は今の現場環境で働く事に疲れてしまったからである。
退職者の多い介護施設の退職理由といえば、だいたい同じ様な理由であったりする。
そんな介護士が次々と辞めていく理由が、わかっているんだったら、そこの理由を潰してしまえばいいではないか。
と思われるかもしれないが、それが結構複雑だったりして施設側もなかなか解決しきれない。
結局、また現場から疲弊した介護士が1人、また1人と退職してゆくのである。
自分のコネをフル活用して昔の仲間からの情報をまとめ、家から通える範囲の膨大な量の求人情報を集めて細かく目を通す。
条件の合う介護施設を何ヶ所かピックアップしホームページ、ブログなどSNSがあればチェック。
ドキドキ緊張しながら介護施設の見学をさせてもらい、面接では様子を伺い話の中で疑問点を解消しながら慎重に自分でも永く働いていけるのか心の中で精査する。
しかしどれだけ同じ過ちは繰り返さないと意気込み、考え尽くし精査した所で、結局働いてみないと中の事は分からない。
集めた自分のデータと面接してくれた施設長の人柄や見学の時の雰囲気などを参考に自分で決めるしかないのだ。
採用が決まり勤務が始まると、
「何か悩んだり困った事があったら、ここにいつでも何でも相談しにきてよ。」
的な事を、施設長的なお偉いさんからお偉いさん室で言われがちである。
しかしあらゆる理由により相談しに行く事はない、しに行けないのかもしれない。
緊張と不安と期待を胸に新たな気持ちで働き始める。施設によるが数日の新人研修などがある場合も多い。
介護経験者なので当たり前の事ばかりだが、今まで教える立場だったから教えてもらう新人である事が新鮮に感じられる。
研修を終えるといよいよ現場での仕事がはじまるのである。