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ヒステリーという用語の誤解
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「ヒステリー」と聞いてどういったことを思い浮かべるでしょうか?おそらく大半の方は、女性が泣きわめいたり怒ったり、叫んだりして感情的にパートナーに訴えている姿を想像するかと思います。
実はこれ、本来の意味とはかなり違っていて、精神科界隈で会議や日常臨床で「ヒステリー」と言う場合、心理的なストレスや葛藤を抱えきれなくなった結果、心と体がバラバラになってしまった状態のことを指します。
具体的な症状としては人によって様々なのですが、急に立てなくなったり歩けなくなったり(失立・失歩)、急に声が出なくなったり(失声)、あるいは広義には記憶喪失(解離性健忘)もヒステリーの中に含まれます。中には気づいたら遠く離れた別の場所に居たという人もいます(解離性遁走)。これら心理的なストレスが原因で起こった症状を全部ひっくるめてヒステリーと呼んでいます。
大事なのは、ヒステリーは表面的にはわざとらしく見えますが、決してわざとやっているわけではないということです。中にはヒステリーを起こしている間のことを全く覚えていないという方もいます。繰り返しますが、ヒステリーとはストレスが爆発した結果、心や体に現れた症状のこと全般を指す総称です。
そうした本来の意味での「ヒステリー」よりも、俗語としての「ヒステリー」「ヒステリック」という言葉が広まりすぎていて、どうしても冒頭の女性のような状態が連想されてしまうため、
今では精神医学の分野でも誤解を避ける意味でヒステリーという言葉は使わないようにしましょうと注意喚起されています。現在は記憶喪失など心に現れたヒステリーを「解離性障害」、体に現れたヒステリーを「転換性障害」とそれぞれ呼ぶようになっています。
追記:後日ミュンヒハウゼン症候群という病気について書こうと思っています。ヒステリーとは違い、こちらは意図的に病気を作り上げるものです。私もこれまでに一人だけ診たことがあるのですが、治療の過程は壮絶でした。よければそちらもご覧いただけると嬉しいです。