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薬が嫌いな精神科医が選ぶオススメの薬3選

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※この記事は3分で読めます。少しお時間いただき最後までお読みいただければ嬉しいです。

noteを始めてから50以上の記事を書いてきましたが、気づけば薬に関する記事は今回でまだ2回目でした。患者さんの中には薬をできれば飲みたくないという方も多く、私自身もできるだけ最小限の処方で済ませるというのは常に心掛けているところです。

そういったこともあり、薬に関する記事は避けてきたのですが、今回はそんな薬嫌いな私がオススメする精神科の薬(向精神薬)を3つご紹介したいと思います(独断ですがご了承ください)。

選ばせていただく基準ですが、約10年精神科臨床(外来、入院)をしてきた中で、患者さんが効果を実感したとおっしゃってくれた薬副作用よりも効果の方が大きい薬、いくら効果があっても副作用がキツイ薬は除外、とさせていただきました。

第1位 デエビゴ(レンボレキサント)
一位にはデエビゴを選ばさせていただきました。2020年に発売された割と新しい睡眠薬です。「睡眠薬が一位かよ」といった声も聞こえてきそうですがこのデエビゴ、旧来の睡眠薬と違って依存性が極めて少ない薬なのです。理由としてはオレキシンと言われる人間生来に備わっている覚醒ホルモンを抑えることで自然な眠りにつくよう作用しているからです。これといった副作用もなく、最近は身体科の先生もよく出されている印象です。

また旧来の依存性のあるベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬が中々やめられないといった方も、デエビゴであればスイッチできるという方も少なくなく、これはデエビゴが発売される前から考えるとかなり画期的なことでした。

第2位 サインバルタ(デュロキセチン)
抗うつ薬です。ただ今回選んだ理由としては抗うつ効果というよりは、疼痛・痛みに対する効果で選びました。うつと痛みはよく併発するのですが(うつ病には痛みを伴う方が多いし、痛みがある方はうつになりやすい)、サインバルタは神経痛手足のしびれや胸の灼熱感顔面神経痛(三叉神経痛)といった痛みにとても良く効き、これまで処方してきたほとんどの方に効果があった印象があります。みなさん劇的に改善してとても喜んでいただきました。

第3位 ラミクタール(ラモトリギン)
実はこの記事を書こうと思った際に1位と2位は決まっていたのですが、3位は少し悩みました。ラミクタールは元々はてんかんの薬なのですが、双極性障害(躁うつ病)にも適応があり、特に双極性障害のうつ状態の方に良く効く印象があります。気分も安定し元気になる印象です。ただ一点、ラミクタールは皮疹が出やすく、しかも重症化しやすいという副作用があり、そのため慎重に少しずつ量を増やしていく必要があります。ただその副作用を鑑みても、ラミクタールの躁うつ病(特にうつ状態)に対する効果は実感としてかなりあります

次点:炭酸リチウム(リーマス)、セロクエル(クエチアピン)、インヴェガ(パリペリドン)

今回は私個人がオススメする向精神薬を3つご紹介させていただきました。もう少しご紹介したかったのですが、長くなりそうなので控えます。次点で紹介した薬もそれぞれ良い薬です。統合失調症の薬では、インヴェガは割と効果がある印象で、1日1回の服用で済みますし、最近ではインヴェガの注射剤(3か月に1回注射するだけで薬を飲む必要なし)なども出ていて、薬を飲みたくない、忘れてしまう、という方にも便利です。コンサータも効く方には効くのですが、動悸や不眠などの副作用も多かったりします。

最後にお伝えしたいのは、どんな薬でも主治医の先生が必要と判断して処方しています。次の外来までに決められた通りに薬を飲み続けた上で効果や副作用、症状を判断してもらい、先生と薬を相談してみるといいと思います。私も患者さんの同意がなければ薬は出しませんし、飲みたくない薬ははっきりとそのように伝えてみるとまた別の方法を考えてくれると思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。














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