意外に知られていない発達障害〜SCDとADD
こんにちは、精神科医のはぐりんです。
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今回は前回お伝えしたウィングの三つ組をもとに、意外に知られていない発達障害をご紹介しようと思います。
ウィングの三つ組について軽く振り返ると、①社会性の障害、②コミュニケーションの障害、③常同性・想像力の欠如/こだわり、の3つがASDの特徴としてよく見られるというものでした。
発達障害といえば、ASD、ADHD、LD(学習障害)の3つがもはや定番ですが、この3つは現在の診断基準マニュアルであるDSM-5では神経発達症群の中に括られています。
このDSM-5の神経発達症群の中には、実はASD、ADHD、LD、以外にもいくつかあって、そのうちの1つにSCD:Social Communication Disorderという診断名があります。和訳すると社会的コミュニケーション障害、
勘のいい方なら既にお気づきかもしれませんが、これはウィングの三つ組のうち、①社会性の障害と②コミュニケーション障害のみ見られるもので、SCDでは③行動、興味、および活動の限定された反復的な様式が存在しないこと、とDSM-5で明記されています。
SCDは過去に私が実際に診断をつけた患者さんも何人かいて、こだわりや常同性はなく、割と想定外のことにも対応できる(できなくはない)けれど、コミュニケーションや社会性に問題を抱えている方に診断をつけたりします。ASDの亜型、サブタイプとも言えますが、やはり発達障害には違いなく、苦悩を抱えている方も多いです。
もう一つご紹介すると、ADHD(Attention Deficcit Hyperactivity Disorder:注意欠如多動性障害)の亜型にADD(Attention Deficit Disorder)という呼称があります。これもお気づきの方もいるかと思いますが、ADHDからHyperactivityを除いたもの、直訳すると注意欠陥障害、いわゆる不注意優位型のADHDのことです。
ADHDは幼少期から特徴がでてくるものですが、成長の過程で多動衝動性に関しては落ち着いてくる、あるいは自制・擬態できるようになり目立たなくなる方が多いんですね。大人になってから不注意のみ残っている方に対してADDの診断をつけることがあります(多動衝動優位型のADHDの方もおられますが、なぜかそちらは略語はないみたいです)。
今回は実はあまり知られていない発達障害、SCDについてご紹介しました。SCDの概念が出てくるまでは、ASDの中核群、ウィングの三つ組特徴がすべて揃っているような方しか拾えなかったのが、DSM-5でSCDの概念が出てきてから、これまでASDとまでは診断されなかったような方々も神経発達症として拾うことができ、治療や社会的な援助を受けられるようになったのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。